プロジェクトストーリー
森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス(中編)
前例がない施設をつくる
―設計・施工は大林組、内装は丹青社が手がけました。
- 杉山
- このプロジェクトで特に重要なのは、建設業者と内装業者をつなぐブリッジを架けることです。ここを、建築のプロである山下PMCがうまくつないでくれました。
- 土橋
- チームラボ、森ビル、大林組、丹青社それぞれの担当者のモチベーションが高かったことも大きいです。これまで全く前例がない施設をつくるという、各社の情熱を感じました。
- 杉山
- 毎週の定例会は、時には30人規模の大会議になりましたが、山下PMCが司会をやってくれましたね。4時間以上の議論が行われましたが最後まで山下PMCさんがサポートしてくれました。
いいものをつくるために、ぎりぎりまで粘りました
- 土橋
- プロジェクトメンバーは、前例による先入観にとらわれず、仕事を全うする若手を中心に人選しました。通常のプロセス管理の場合、「早めに決める」ことを重視するのが一般的ですが、本件の場合は「決定するタイミングをどこまで延ばせるか」という考え方も重要でした。
- 杉山
- よりよいものをつくりたいと、みんなが一丸となっていました。
- 土橋
- この事業は、アーティストが、ミュージアムの出資者であるという、世界的にも珍しいパターンです。
- 松本
- スキームも含めて前例がなかったと私も感じています。
- 杉山
- ひとりの作家による大規模なミュージアムというのも珍しい。
- 土橋
- つまり、「ボーダレス」は、誰もが未経験でつくった空間です。チームラボ、森ビル、大林組、丹青社、そして私たちが、自分のプロフェッショナルな立場で、考えて議論しつくして、ロジカルに決めるしか前に進めませんでした。それに、建物も既存のものだから、構造や負荷の制約があります。また、それぞれの会社の立場が絡み合っており、それぞれの“最適”を考えつつ、決定していくことが難しかったです。
- 杉山
- 決めるといえば、大階段を造ったのは正解でした。これに行き着くまで、様々なプランがありました。
各階をそれぞれ単独で運営せず、階をまたぐような動線を採用した。既存の施設を可能な限り活用しながら、鑑賞する人の安全性を確保。集客力の向上も図った。
- 松本
- 最初は3階から中3階、4階へとステップする案だったのですが、コンセプトである「探索して発見する」「さまよう」という体験を実現するために、迷路の奥からスタートする構造になりました。
- 土橋
- それにより、構造がガラリと変わり、お金はかかるけれど大階段を設置した方がいいという決断になりました。それが結果的に、今の集客力につながっていると感じます。
重力にあらがう生命の森:重力に逆らったような動きをする光の物体が、立体的に空間に埋め尽くされている。
重力にあらがう生命の森 /Weightless Forest of Resonating Life teamLab, 2018, Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi
すべって育てる! フルーツ畑:すべり台に多様なフルーツが育つ。人は、太陽の光になり、坂をすべりボールを飛ばす。
すべって育てる! フルーツ畑 /Sliding through the Fruit Field teamLab, 2016-, Interactive Digital Installation, Sound: teamLab
茶の木 :2018年12月1日に『EN TEA HOUSE 幻花亭』
に登場。凍結された茶を置くと、そこから茶の木が生え茂る作品。
茶の木 / Tee Tree teamLab, 2018, Interactive Digital Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi
関連する用途
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教育/文化/アート
少子化が加速する社会において、学校づくりも新たな局面を迎えています。老朽化の進む学校施設を、品質などの標準化を図りながら整備したり、場合によっては民間からの活力を導入する仕組みや、施設の統廃合を視野に入れた検討も行わなければなりません。私立学校では学生獲得戦略に基づいた、ブランディングや魅力ある施設づくりも重要です。また文化・アート施設では、多様化する社会のニーズに応えるため観賞を主眼に置いた施設から体験型、食事や買い物も楽しめる複合型やリアルとバーチャルの融合への対応など、施設の役割・機能の転換が進みつつあります。
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