建設市況レポート(25年03月)
好循環の創出に向けて
先日、国土交通省より2025年度公共工事設計労務単価が発表されました。
平均して前年度比6.0%の大きな上昇となりましたが、少し遡って、ロングスパンでの推移を見てみます。
2012年度からの動向を図表1に示します。
図表1「公共工事設計労務単価動向 東京都」

出典:国土交通省 公共工事設計労務単価
一貫して上昇が続いており、2012年度から2025年度に至る全9職種の平均上昇率は75.7%となっています。
2023年度から上昇率が大きくなっており、特に2025年度は、過去11年間で最大の伸びとなります。
この新たな公共工事設計労務単価を受けて、技術労働者の賃金が適切に引き上げられ、下請け業者への適切な労務費の支払いにまで及ぶ必要があります。
業界の隅々まで行き渡らせることで、新たな担い手を伴いながら、好循環へと繋ぐことが目指されます。
中央建設業審議会のワーキンググループ(労務費の基準に関するWG)でも議論されていますが、「隅々までの行き渡り」の実現に向けては、従来の商習慣の見直しにまで切り込んでいく必要がありそうです。
こうして、建設業界のサプライチェーン全体での価格転嫁が目指されていますが、これは発注者の設備投資、ひいては日本の経済成長に影響します。
この時代において、我々は「安い方が良い」というマインドを変える必要がありそうです。
人口減が進む我が国の状況下においては、社会全体で「人(会社)」「金」「時間(機会)」といったリソースの有限性を認識した上で、社会の中でやりくりをしていく必要さえも感じます。
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材、RC系資材とも横ばいです。
建築費指数はS造が前月から0.2P(前々月から0.4P)、RC造が前月から0.1P(前々月から0.2P)それぞれ減少しています。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ それ以外:2011年4月比
推移傾向
下降
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ 上記以外:2011年4月比
推移傾向
下降
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
-
【3代目】アナリストK
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進第二部門 5部 部長岩下孝樹 -
アシスタントM
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