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The Report #22 問いを立てる、という仕事

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「The Report#12」では、施設単体の建設だけではなく、施設と周辺地域も含めた都市再開発の支援サービスについてご紹介しました。今回は、山下PMCが取り組む都市の創造、マネジメントとは何か? 山下PMC 都市創造部門 都市創造1部 ユニットリーダー 桜井 大輔が見解を述べます。

都市を創造する、という部門の屋号

私が所属する都市創造部門では、複数の事業者や敷地にまたがるプロジェクトを多く扱っており、そういった特徴から部門の屋号を説明することができるかもしれません。しかし「都市を創造する」という大きなテーマを自身は背負えているかという疑念を抱えながら、日々の業務に従事しているのも事実です。
そんな中、今回お話したいのは、私が3年間、継続して講師を拝命している某大学大学院での講義の話です。

建築学科の講義に、設計事務所やゼネコンの現役社員が登壇することは多々りますが、PM/CM会社の社員が登壇するのは、まだそれほどメジャーではありません。そんな中、私に白羽の矢が立ったわけですが、講座を担当する方からの当初のオーダーは「業務事例を紹介しながら、建築のプロジェクトマネジメントという職業の存在を学生に伝えてほしい」というものでした。
まずはオーダーに答えるべく初年度の講義をこなしたわけですが、講義を終えてもどこかしっくりこないところがあり、毎年試行錯誤して講義内容を少しずつ改良しています。

都市をマネジメントする、とは

何がしっくりこなかったかと言うと、講座タイトルは「都市マネジメント」ですが、業務事例と職業の紹介だけでは講座タイトルから期待する内容になっていない気がして悩んでしまったわけです。プロジェクトマネジメントという職業を、大学の学問として扱えないかという自身の根底意欲と、講義内容を講座タイトルにつなぎたいという思いから、頼まれてはいないのですが、課題づくりを模索していきました。

まず「都市マネジメント」という単語を検索すると「都市の抱える様々な課題に対して、住民、事業者、行政などが連携し、持続可能な都市の発展を目指す活動のこと」とあり、実は対象物がはっきり定義されていないことが分かります。対象物をはっきりさせる、そして対象物によって当然にアプローチは変わるべきだろうということを課題づくりのヒントにしていきました。

いろいろと悩んだ末、自身が関わってきた案件において都市とどう向き合っているのかを改めて見直し、「都市は敷地と道路でできている」という問い(仮説)を設定し、事例紹介のストーリーを構築しました。講義では、講師の立てた問い(仮説)と、そこを起点としたマネジメント手法を説明するわけですが、学生は一方的に聞くだけではなく、自分だったらどう都市と向き合うかを考えながら受講してもらうように、あえて講義の冒頭で課題を出しています。都合上、講義内容は省きますが、実際に今年度に出した課題は以下となります。

問いを立てる、という目線

課題を検討する中で思い至ったのは、大きなテーマに対して「問いを立てる、という目線」でした。
大学とは知識をインプットする場でもありますが、当然、アウトプットする能力を磨く必要もあります。ゴールを設定して、そこまでのプロセスを自ら組み立てる能力、すなわち、問いを立てる力を学生時代に鍛えてほしい、そして、そこに貢献したいという愛情がモチベーションとなりました。
提出された約70名分のレポートを拝見すると、出題者も想像しなかった多種多様な問いと、そこを起点とした独自のアプローチが展開され、課題の狙いが達成された感慨深い気持ちで読み漁りました。
講師からはハードに振った視点で問いを立てましたが、その反動か、ソフトの視点で都市を語っていただいたレポートも多くありました。特に関心させられた問いとしては「都市は境界でできている」「都市とは随意的な合意である」「都市はあそび(余白)でできている」などなど、問いによってアプローチも異なるという点の確信ともなりました。

さてそんなことをしていると、ちゃんと仕事してるのかと突っ込みが入りそうですが、自身の日常業務を違った角度から眺めるきっかけにもなります。たとえば、課題を発見する力(見落とさない力)、コンセプトを言語化する力などは、問いを立てる力と同じではないか、そう捉えると、日常の業務でもまだまだできることがありそうです。

問いを立てる、という仕事

山下PMCの業務は、プロジェクトのフェーズによって業務内容や役割もさまざまです。フェーズによって必要とされる能力は変わりますが、都市創造部門が担当する業務としては、建設プロジェクトにおける企画段階業務が多いので、私たちの仕事は『問いを立てる、という仕事』であると定義しても良いかもしれません。

都市創造部門には、何をやったらいいのかわからないが出発点、ビジョンやコンセプトづくりから始める事業創造型PMという業務メニューがあります。今回の話の視点に立てば、「ビジョンやコンセプトとは、プロジェクトのゴールに向けて立てた問いを、社会に発信するための言葉」だと思います。
お客さまのために、ひいては社会のために、プロジェクト固有に有意義な問いを立てるべく、今後も日々精進してまいります。

山下PMC
都市創造部門 都市創造1部
ユニットリーダー 桜井 大輔

次回の「The Report」は、山下PMC 三岡 裕和がお届けします。

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