The Report #18 施設の完成から開業までをつなぐ包摂的マネジメント
春は移転・引越しの季節です。山下PMCでは、建物をつくるだけではなく、人やモノの移転を円滑に進め、新しい環境での営みを始めるまでの支援もしています。今回は、工事完成から運営まで“狭間”のフェーズで山下PMCがどのようなお役立ちができるのか? 山下PMC プロジェクト統括本部 事業推進第二部門 5部 部長 岩下 孝樹がお伝えします。
建物の完成が運営の開始ではない。最終フェーズはやることが山積み
建設に携わっていると、どうしても設計や工事に目が行きがちです。しかし、事業者には工事完了後も運営開始に向けてやるべきことがいくつもあります。部分的な工事やFFE*調達、移転等が適切に手配され、完了することで初めて施設が稼働できます。
*FFE:Furniture Fixture and Equipmentの略称で、家具・什器・備品等の総称

工事と運営をつなぐ最終フェーズが重要である
建設工事の区分にはA工事/B工事/C工事という呼び方があります。簡単に言うと、躯体や外装、共用部等の本体工事がA工事、テナント・ユーザー側の内装や設備工事等の専門工事がC工事、そしてC工事に伴うA工事側への依頼工事がB工事となります。一般的に、A工事にはたくさんのC工事が付随します。
建物を最終実装するためのC工事、FFEの調達、人やモノの移転、これらを伴ってようやく、開業に向けた準備が整うのです。

A工事には様々なC工事が付随する。Photo:PIXTA
A工事と比較した場合、各C工事の規模は大きくなくても、計画の策定・発注・設計(仕様決め)・工事(据付)が必要となり、これらの手順はA工事と違いはありません。
山下PMCがどのように関わるのか?
最近、事業者の間で「施設の維持・運営を担う人財が不足している」という声をよく耳にしますが、山下PMCはA工事と同様、事業者と各工事会社との間に入り、各工事のマネジメントを通じて事業者を支援しています。
C工事の初期段階では「何をするか?」が明確ではない場合も多いものですが、山下PMCは各C工事の計画の整理からお手伝いを始め、「どのような内容の工事を」「誰に」お願いするのが良いかという提案を行います。
各種C工事を推進するにあたり、事業者側でワーキンググループ(以下・WG)が組成されることが多いのですが、必ずしも建築の専門家がWGにいるとは限りません。そこで、私たちは丁寧なコミュニケーションを通じて、C工事の発注~工事会社の選定、そして設計(仕様決定)、工事(据付)と各フェーズにわたってWGを中心とした事業者の方々と並走します。

山下PMCは各工事のマネジメントを通じて事業者を支援
どのタイミングでC工事の検討を始めるのか?
C工事を検討するタイミングは悩ましいものです。A工事のプランがある程度固まっている必要がある一方で、A工事の設計が完了してからでは手遅れになる工事もあります。
工事のやり直し等の手戻りを防ぐためにも、C工事の内容を予めA工事側と調整しておく必要がありますが、A工事における「総合図」を確認するタイミングは調整の最終段階であり、ここから逆算してC工事の発注時期を決める手法もあります。

総合図のタイミングから逆算してC工事計画の着手時期を策定
どのようにマネジメントをするのか?
山下PMCは、A工事、各C工事、移転のそれぞれにおけるマネジメントはもちろんのこと、各所で調整を実施します。A工事の中身を熟知していること、関係者との関係性が構築できていることをベースに、プロジェクト全体のマネジメントを力強く推進します。

各工事をマネジメントするからこそ、各所の調整主体として効果を発揮
移転・ロジスティクスでもマネジメントのノウハウを発揮
単純な引越しであれば、移転・ロジスティクス(以下・移転ロジ)会社にお任せで良いかもしれません。しかし大規模プロジェクトの場合、複数拠点からの集約というケースも多く、業務停止期間を最小限とするために入念な移転計画が求められます。
たとえば、R&D(研究開発)施設や生産施設における移転では、高額な精密機器や大型の装置等もあり、移転ロジ会社にノウハウや実績が求められます。残工事期間中の移転という状況も起こり得ることで、A工事との調整も発生します。
このようなプロジェクトの事情を踏まえ、山下PMCは適切な移転ロジ会社の選定を支援し、移転ロジ会社とともに移転計画を策定し、各種工事との調整を行います。予見される課題を洗い出し、その解決に向けた動きを取り、C工事やFFE搬入までを含めた全体スケジュールの策定、マネジメントができることが我々の強みでもあります。

PM/CMと移転ロジ会社が相互補完しながら移転計画を推進
包摂的なマネジメントを目指して
今回は施設の完成から開業までをつなぐ支援についてご紹介しました。我々のマネジメント対象が建築だけではないことをご理解いただけたのではないでしょうか。
また、建設プロジェクトには多くの人が関わりますが、各プレーヤーが力を存分に発揮する土壌づくりが肝要であると信じています。そのために我々は、多様な関係者とのチームアップに力を注ぎます。
山下PMCは施設建築、事業創造を支援するPM(プロジェクトマネジメント)/CM(コンストラクションマネジメント)の専業会社です。建築の完成だけが目的でなく、その先にある「事業創造」の支援を本懐としています。建設の専門知識と経験をベースとしつつも、型に囚われず、プロジェクトや事業者の事情・特徴に応じて柔軟に形を変え、必要なサービスの提供を心掛けています。
人口減少が進み、事業者における人財も逼迫する状況にあって、頻繁ではないが、一度で大きな設備投資を伴う建設プロジェクトをいかに前に進め、次世代につないでいくか。お困りごとがあれば、ぜひ山下PMCを切り札としてご活用いただければと思います。

関係者をつなぎプロジェクトを推進
次回の「The Report」は、山下PMC 嘉門 隆史がお届けします。
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