プロジェクトストーリー
海老名総合病院(中編)
病院の“本気”を示す直接対話の効果
スーパートライアングル病棟/三角形の敷地の特性を活かしたスタッフステーション。病床の60%に正対し、死角を減らした。
直接の対話によって応募者のモチベーションが上がりました
事業者選定はどのようなプロセスで行われたのですか?
- 小倉
- 先に贄理事長がおっしゃったように公平性、透明性を確保することが前提でした。課題解決のためには広く アイデアを募る必要があり、5社にお声掛けしました。今回のプロジェクトは、プロポーザルの前に各社と病院の意見交換の場を設けた点が大きな特徴です。
- 服部
- 我々の本気度を分かっていただきたかったからです。建設は1回きりです。どうか本気の一発勝負のご提案をいただきたい、と。
- 小倉
- 応募側にとっても、発注者の熱意が伝わることは重要だと思います。「この発注者はこんなに前向きに一緒に取り組んでくれるんだ」と知ると、応募する側のモチベーションも上がります。
1回目の対話から3週間後に2回目が行われています。
- 小倉
- 1回目に理事長先生や院長先生、看護部長など6人の出席者から、それぞれの意見をいただきました。応募者の提案に対して、「看護の視点からだとこうできます」「経営の視点から見るとこうです」と。それを反映したプランで2回目の対話を持ち、その上で最終提案にまとめてもらいました。対話を2回持ったことでよりよいプランをご提案できたと思います。
- 服部
- 各社からの提案はそれぞれに工夫がありました。驚いたのは、すべての病床を新棟西館に集約できるプランをいただけたことです。当初は、本館(旧館)に病床を残さざるを得なかったのですが、予算内に収まることが分かりました。
清水建設さんに決定されたのは、それが決定打ですか?
- 贄
- 同じくらい高レベルの提案は他社からもいただきました。最終決定は経営層の審査員による点数制。点数が一番高かったのが清水建設さんです。
- 小倉
- 最後まで透明性を示すために、審査結果は応募してくれた会社すべてにお伝えしました。
- 1階・2階のビッグフロアプレート/緊急性の高い医療を提供する1階と2階は関連部門を近接させ、最短の動線を設定した。
- 三角形の頂点に設置したデイルームは見晴らしのいいパノラマビューを確保。
プロジェクトに関わったマネジャー
関連する用途
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医療・健康施設
医療施設の整備には、経営・運営・施設の視点を統合した計画立案が欠かせません。しかし、診療報酬制度の制約を受ける経営、多数の専門職が関わる運営、24時間365日止められない施設において、全体を見渡し最適な計画案を見出すとともに、関係する専門職の納得感を得ながらプロジェクト推進を行うことは容易ではありません。3つの視点を横断的に俯瞰し、複数の分野・部門にまたがる関係者の合意形成を実践できるプロジェクトマネジャーが求められてます。