建設市況レポート(25年04月)
異常な高騰と歪な構成
建設業や設備工事業の各社の決算を見ると、完成工事高、受注高ともに増加しています。
特に設備工事会社においては、利益率も堅調です。
2030年度まで手一杯という会社も耳にします。
各社は受注確度の高い案件を優先したり、採算性を重視した取り組みの選別を行ったりと、完全なる売り手市場の様相を呈しています。
そこに来て、建設業の働き方改革、新・担い手三法の施行等、適正な労務費の支払いに向けて価格転嫁を推し進める流れとなっています。
このような情勢の中、特に設備工事のプライスは上昇が続いています。
実際の建設プロジェクトにおいて、積み上げ型のコストによるアプローチでは説明が難しい状況も多発しています。
建設費が10年前と比べてどのようになっているか、図表1に示します。
図表1「建設費とアロケーションの推移」
※ 2014年の平均値を100とした指数

出典:建築費指数 建設物価調査会
建築プライス 山下PMC実績
建築費指数では1.4倍程度の上昇に留まりますが、実際のプライスとしては2.5倍程度になっているものもあります。
加えて、その内訳(アロケーション)も大きく変動しており、例えば研究開発施設においては、機械設備と電気設備とで、直接工事費の50%を超えることも頻発する状況となっています。
建築需要は全体としては減少傾向にあるものの、建設業就業者数も減少しており、担い手確保を念頭にした技術労働者賃金の引き上げや、適切な労務費の支払いの促進は建設費の上昇となって現れます。
トランプ関税の経済へ与える影響の不透明感も相まって、正常化に向けた見通しを持つことが難しい状況は当面続きそうです。
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材(鉄スクラップを除く)は横ばいもしくは下降、RC系資材は横ばいです。
建築費指数はS造が前月から0.3P、RC造が前月から0.6Pそれぞれ上昇しています。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ それ以外:2011年4月比
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
上昇
- ●鉄スクラップ H2 東京
現状維持
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
下降
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ 上記以外:2011年4月比
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
-
【3代目】アナリストK
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進第二部門 5部 部長岩下孝樹 -
アシスタントM
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進第一部門 2部松尾一輝
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