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参謀レポート

The Report #14 長距離走で挑むグローバル展開

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第2期トランプ政権の始動、ガザ地区での停戦合意など、ますます世界情勢から目が離せなくなってきていますが、今後、日本企業が海外事業を展開するにあたって何を見据えるべきなのでしょうか? 山下PMCでグローバル事業をけん引するグローバル事業本部 本部長 合内 祥之がお伝えします。

グローバリゼーションと分断

周知の通り、世界はグローバリゼーション(統合と連携)と分断を繰り返してきました。そして近年は両者が同時に起こる時代といってもいいかもしれません。

詳細な体系化やその原因などの考察はここでは控えますが、グローバリゼーションの側面では、2000年代以降だけでも、TPP協定発効や、BRICSからグローバルサウスといった先進国だけでなく新興国間での連携がなされています。また、急成長するSNSや生成AI市場においては、マクロだけでなくミクロレベルでの情報の活性化が進みつつあります。

一方、分断の側面では、アラブの春、英国のEU離脱(BREXIT)、米中貿易摩擦、中国による周辺国への軍事威嚇、ロシア・ウクライナ戦争やパレスチナ・イスラエル戦争といった対立が絶えません。また、前述のSNSや生成AIも、TikTokの米国での禁止令やイーロン・マスク氏によるオープンAI批判のように、政治的排除の手段となる事象も発生しています。

こういったグローバリゼーションと分断は一見相反する行動のように見えますが、根源にあるのは「各国が自国の発展をいかに実現しようとしているか」という同じ目的のように思えます。 いずれにしても、グローバリゼーションと分断は、時系列だけでなく、地理的にも複雑かついびつに発生し、国・行政や企業のリーダーの判断を困難にさせています。

トランプ2.0と「アメリカ・ファースト」

2024年末から2025年にかけての最大のイベントは米国のトランプ大統領の再任(通称「トランプ2.0」)です。
1期目と共通すると考えられるのは、「アメリカ・ファースト」を前提として、各国や組織に圧力と威嚇を与え、譲歩や妥協を得る手法でしょう。
米国でのAI産業の強化、特に中国に対して顕著な関税などの経済的圧力、経済連携団体からの脱退、軍事費負担の圧力など、中国といった大国や主要国も含む多国同盟ですら米国に迫られれば、うろたえるのも無理はありません。

米国がどこまで本気かは分かりませんが、日本でのビジネスの経験をもとにグローバル展開を図る私たち「日本チーム」も情勢を注視しながら対応する必要があります。

世界各国がホワイトハウスの動向にこれまで以上に注視している。Photo:PIXTA。

不確実な時代における企業の設備投資と不動産投資

今や日本企業の多くが世界中で事業を行っています。その成長のためには、設備投資や不動産投資という大きな決断を伴う投資活動が欠かせません。情勢が目まぐるしく変化する中で、機動的な対応が求められています。

さらに、現在の日本では、消費者物価上昇率やGDP成長率を大幅に超える物価上昇の課題を抱える市場があります。建設市場です。
その原因は技能労働者不足や働き方改革による実質作業時間の減少を理由とした需給ひっ迫による人件費上昇や、世界的な資材価格高騰と言われています。

建設資材物価指数 品目別総合(全国)推移 2000~2024年

出典:一般財団法人 建設物価調査会
2021年から2024年の上昇傾向が顕著。3年間で約30%、年率換算では約9~10%上昇している。

実際に多くの企業が設備投資を抑え始め、サービス業でも出店計画を見直し始めるなど、影響は建設業自身だけでなく、国内経済活動の縮小のリスクにまで波及しつつあります。
このような状況で、今こそ「日本チーム」は世界に出て機会をつかむ挑戦を行うことで、逆境を活かして飛躍するチャンスを得たと考えています。

山下PMCのグローバリゼーション支援

当社は2017年より企業の海外事業の推進を支援する組織を設置し、事業を進めてきました。特にASEANの中でも若く、経済成長著しいフィリピンでは継続的に事業展開を行ってきました。
フィリピンは2023年時点で国民の平均年齢が24歳程度と日本の48歳と比較すると非常に若い国民が多い国で、2020年のパンデミックを除いては、6~7%の高い実質経済成長と2~3%の安定した物価上昇率を継続しています。当社はカジノを含む統合型リゾート(IR)の開発における事業支援から、コンドミニアムやオフィスビルなど、日本企業による不動産投資・設備投資を支援しています。

また現在は、ASEANだけではなく、北米でもプロジェクトに参画。森永製菓株式会社が2027年1月の稼働開始を目指して米国で進めている「HI-CHEW」(ハイチュウ)の生産拠点である森永アメリカフーズ(株)第2建設プロジェクトにおいて、当社はPM(プロジェクトマネジメント)/CM(コンストラクションマネジメント)業務を支援しています。

2024年10月3日、森永アメリカフーズ(株)第2工場(米国第2工場)のGroundbreaking Ceremonyが米国ノースカロライナ州オレンジ郡メベイン市で執り行われた。左:式典の様子、右:完成予想図。

日本企業に限らず、自国以外の国で投資を行う場合、現地で窓口や船頭として支援する存在が重要です。現地に信頼できるローカルパートナーがいれば良いですが、自国の信頼できるパートナーが現地でも伴走することで、できる限り日本と近い環境を維持し、リスクを軽減することができるので、非常に有益であると信じています。

当社のグローバル事業は2017年に始まりました。日本が抱える構造的な課題や困難な環境における経験を糧に、「日本チーム」が世界中で活躍する支援を行う存在となることを10年~数十年スパンの姿としてビジョンに見据え、成長を続けていきます。

山下PMC
グローバル事業本部 本部長
管理統括本部 経営戦略本部 総合マーケティング戦略部 部長
合内 祥之

次回の「The Report」は、山下PMC 進藤 光信がお届けします。

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