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横浜熱供給株式会社 地域冷暖房プラント大規模改修計画(中編)

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制約下で最良のプロセスを探し出す。技術者魂がワクワクするプロジェクト

多くの制約があったということですが、たとえば工事にどのように影響したのでしょうか?

ひとつは熱供給会社の改修工事に共通することで、工期が熱需要の少ない秋から春に限られることです。今回の改修工事では、1シーズンに2〜3台しか更新できませんでした。そのため工事期間が3シーズン、足かけ4年の長期にわたりました。
清水
施工時間帯も制約を受けます。資材や機械の搬入は、営業中のホテルの駐車場を経由するため夜中しか作業できません。冷凍機のような巨大な物体を深夜、ホテル営業に支障がないよう搬入しなければならないわけです。
進藤
24時間365日、熱を安定供給しながら改修工事を行うことが最大のネックでした。さらに、コスト、工期、施工時間、機械寸法、電源容量、負荷追従性、低負荷時の効率等さまざまな制約がある中、どういったシステムやプロセスが最良なのか、難しい問題が多い分、私たちの技術者魂はワクワクさせられました。
吉川
私は主に電気系統を担当したのですが、機器と電源の系統整合と電源容量の制約をどう両立させるか、随分検討を重ねました。
田中
私は空調系を担当しました。配管ひとつとっても、いつ、どこから搬入するか、緻密な計画が必要でした。
藤井
機械は一つひとつが巨大でした。たとえば、一辺が7メートルを超える冷凍機は、そのままでは当然運べませんので、駐車場のスロープを通すために8分割しました。それでもスロープを曲がりきれず、壁を一部取り壊して、人力で運ぶような荒技も必要でした。すべて夜中の作業です。搬入時以外は、ホテル利用者の車両も通りますので、取り壊した壁は直後に仮復旧する必要がありました。最大のパーツの重量は15トンほどあり、搬入に2、3日かかりました。協力会社にとっても、これまで経験したことがない難易度だったと聞いています。
設計・施工計画の取りまとめにあたっても修正を繰り返しました。工事によって熱の安定供給に支障が出ないように、停電可能範囲の検証と現地調査を行った結果、機器配置や配管ルートの見直しが幾度となく発生しました。その都度、当社と山下PMCと施工者で対策を協議し、改善策を導いてきました。
吉川
改修工事が始まると計画段階では見えなかった課題も見えてくる、この対応が改修ならではの大変さかなと思います。
清水
施工の計画策定は、コロナ禍の拡大時期とも重なり、想定外のことがたくさんありました。機器の納品、協力会社の体制の維持等、対策を講じるのに、山下PMCの迅速な情報収集は本当に助かりました。
進藤
コロナ禍では誰も予測できない状況になってしまって。万一の状況に備え、機器の解体着手計画見直しの検討等、想定できる事態への対策を議論しました。
田中
幸いなことに、施工者がすでに機械メーカーに発注済みだったこともあり、計画通り進めることができましたが、機械が到着するまではヒヤヒヤしました。
  • 熱供給システムの系統図と地下6階の機器配置図。地下5階には、発電を行うとともに、その排熱を利用して蒸気を発生させるコージェネレーションシステム、地下6階にはボイラー、冷凍機、中央監視室等が配置されている。工事期間中も安定供給を続けるために綿密に練られた更新計画を基に、3シーズンに分けて工事が実施され、機器の多くが入れ替えられた。

プロジェクトに関わったマネジャー

関連する用途

  • Facility Dr.

    施設の寿命は数十年におよび、施設自体の老朽化に加え、社会的劣化も進みます。施設の価値を維持・向上するためには、改修・増築・減築・建て替え、さまざまな選択肢の中から最適解を選び実行する必要があります。また、施設のランニングコストや将来の改修にかかるコスト、拡張・縮小・コンバージョンへの備えも大切です。

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