建設市況レポート（25年12月）

技術の対価

今月12日に、改正建設業法・入札契約適正化法・公共工事品質確保促進法による第3次担い手3法が施行となりました。
労務費の基準（標準労務費）を軸として、国が主導して商習慣の変革に挑む意欲的な取り組みです。

ここで焦点となっている技能者の状況を図表1に示します。長らく供給不足の状況であることがわかります。

図表1「全国労働需給動向」

出典：国土交通省建設労働需給調査

建設業従業者の賃金水準は全産業平均に追い付いていません。
練度を要する技術が必要とされ、夏期の過酷さを伴う労働環境にあっても入職者を確保するために、適切な報酬と安定した処遇は必要不可欠です。
事業にとって建設業はなくてはならず、雇用・経済の一翼を担うものでもあります。
この産業の持続可能性のために、発注者への理解を促す必要があります。

他方で、この物価上昇・建設費上昇の最中にあって、日本経済をドライブし、我が国の発展のために設備投資は継続されなければなりません。
適正な労務費の確保は建設費上昇に拍車をかける可能性があり、投資判断に影響が出かねません。
そんな中、政府による設備投資の促進に向けた税制創設の方針が打ち出されています。
折り合いを見出しながら、我々は前に進む必要があります。

この潮目ともいうべき転換点において、建設業関係者は決して状況に甘んじてはいけません。
発注者に求められ、その要望に応えられるように、信頼を得る仕事を続けることが何よりも肝要です。

資材、建築費指数の傾向

鉄鋼系資材（鉄スクラップを除く）、RC系資材とも横ばいです。

建築費指数はS造が0.2P、RC造が0.1Pそれぞれ下降しています。