建設市況レポート(25年08月)
丁寧に理解を促すこと
夏休みも終わりですが、厳しい暑さが続きます。
最高気温の記録更新、猛暑日の連続日数の記録更新等、体感と共に目に見える数値として酷暑が顕わになっています。
労働安全衛生規則の改正により、熱中症対策が強化されましたが、それも細やかに感じられる程に夏期の工事は厳しいものになってきています。
働き方改革が叫ばれる中、子供の夏休みまでとはいかないまでも、もう少し夏期休暇の期間があって良いような気さえします。
さて、コストについても上昇傾向は変わりません。
建築費指数や建設工事費デフレーターだけでは説明が難しいことは日常茶飯事ですが、今回は別の公的指標からアプローチしてみます。
国土交通省による建築物着工統計のデータに着眼し、比較的規模感のある多用途建築物の床面積の合計及び工事費予定額の情報を抽出し、工事費予定額を床面積の合計で割って面積単価を算出、2015年を基準として指数化したものをグラフ化してみました(図表1)。
この建築物着工統計のデータは、月毎のバラつきが大きいため、12ヶ月の移動平均を青の実線で示します。
建築費指数や建設費デフレーターよりも上昇率が大きいことが見て取れます。
図表1「建築物着工統計による工事単価の推移」

多品種の材料、及び輸送費や労務費、経費などの多様な構成から成り、建設される土地や求められる用途・性能に応じた一品生産という特殊性を帯びた建設費。
さらには重層構造から成る業界の特性や商習慣も加わり、その説明は一筋縄ではいかない性質のコストではありますが、これを諦めることなく、丁寧な説明を通じて理解を促すことがこの業界に関わる者の務めだと思います。
物価高や円安、高い関税等の不安定な情勢下では尚更その姿勢が必要になります。
資材、建築費指数の傾向
鉄鋼系資材では、異形棒鋼及び鉄スクラップが下降、その他は横ばいです。
RC系資材は横ばいです。
建築費指数はS造が横ばい、RC造は前月から0.1P上昇しています。
資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)
出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ それ以外:2011年4月比
推移傾向
現状維持
●建築費指数 東京 事務所 S 建築
現状維持
- ●H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京
- ●山形鋼6×50ミリ 東京
- ●構造用管 角管 東京
- ●熱延鋼板1.6ミリ 東京
下降
- ●異形棒鋼16ミリ 東京
- ●鉄スクラップ H2 東京
資材、建築費指数の推移(RC系)
出典:日経NEEDS / 建設物価調査会
建築費指数:2015年比/ 上記以外:2011年4月比
推移傾向
上昇
●建築費指数 東京 事務所 RC 建築
現状維持
- ●セメント バラ 東京
- ●普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
- ●生コンクリート 建築 180キロ強度 東京
-
【3代目】アナリストK
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進第二部門 5部 部長岩下孝樹 -
アシスタントM
株式会社山下PMC
プロジェクト統括本部 事業推進第一部門 2部松尾一輝
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