山下PMC

お問い合わせ

施設にまつわる
“モヤモヤ”解決マガジン

MENU 開く 閉じる
発注者目線の仕事術

あくまで経営者目線で建物の価値を伝える

  1. ホーム
  2. 施設参謀マガジン
  3. 発注者目線の仕事術
  4. あくまで経営者目線で建物の価値を伝える

講師:加々井 千裕 山下ピー・エム・コンサルタンツ事業推進本部事業推進第一部プロジェクトマネジャー

1970年生まれ。東京大学大学院修了。インフラ企業で新築・改修工事のPM・CMを担い、オフィスFMや分譲マンションの企画なども経験。現在、山下PMCの事業推進本部第一部プロジェクトマネジャーとして、大手企業のCRE戦略マネジメント業務などを担当

加々井 千裕

生産拠点や管理部門の海外移転、情報技術の進歩に合わせた業務の効率化などの必要に迫られる企業では、既存のオフィスや工場などの再編を図ろうとしている。

そのためには、企業が所有する施設がどのような性能を持ち、どれだけ事業に貢献しているかを、金額や数値のように経営判断に役立つ指標に変換することが求められる。既存の施設群を最適化しながら活用するファシリティーマネジメント(FM)の手法を説明しよう。

既存の施設を経営資源として再編するには、その価値を客観的に見極める作業が必要となる。施設に掛かるコストやその効果を数値化するには、幅広い建築の知識が必要となり、経営戦略の専門家にとっては難しい作業だ。逆に建築技術者が経営の知識を学べば、それまで培った経験知がアドバンテージとなる。つまり建築技術者こそが、施設のコストや効果を的確に把握し、それを経営者に分かりやすく伝えるのに、最も適した立場にいる〔図1〕。

施設の価値を翻訳する

[図1]
施設の価値を翻訳する
建物の価値を経営層に届く客観的な指標へと翻訳するには、建築技術者の知識が必要だ。施設を経営資源として活用するために有効な判断材料を提供して、経営層からの信頼を獲得しよう

施設の状態をカルテ化する

まずは組織が保有する各施設を比較検討できるように、共通の指標を使って整理する。そしてそれぞれの指標を表やグラフで示してカルテ化してみると、どの建物がどういった性能に強みがあるか、どこが弱点なのかが一目瞭然となる〔図2〕。

代表的な指標としては、省エネ性能や事業継続計画(BCP:BusinessContinuity Plan)の達成度、残存不具合率(FCI:Facility ConditionIndex)といったものが挙げられる。

それぞれの指標には意味がある。省エネ性能はランニングコストに影響を与える。性能の高い最新機器に更新すれば中長期でのコストは抑えられるが、更新に掛かる費用との兼ね合いとなる。リスクを計るにはBCP達成度が分かりやすい。

そしてFCIは、その施設にどの程度の不具合があるかを示す。施設や設備の不具合のうち、5 年以内に修繕や更新が必要なものに掛かる費用を、その時点で新築するのに必要な再調達価格で割った指標で、通常5%以下であれば良好とされる。

個別の指標を示すときにもコツがある。概算で構わないので、必要となる金額まで落とし込むことだ。例えばBCPであれば、現状の建物スペックだけ示しても経営者には判断がつかない。そこで、「災害の後、インフラ電力供給なしで72時間自立できる」という性能を電気設備の最高レベルとして、その条件を満たすために必要な設備投資がいくらかを示す、といった具合だ。

カルテで一目瞭然に

[図2]
カルテで一目瞭然に
経営層は経営判断の根拠になる資料を必要とする。施設への投資を比較検討できるよう、所有する複数の施設の性能や必要となる投資額を一覧表にするなど、見える化すると効果的だ

・株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツは、2018年4月1日に、株式会社山下PMCに社名変更しました。
・記載されている内容は、掲載当時の情報です。予告なく変更する場合もございますので、あらかじめご了承ください。
・記載されている会社名、商品名は、各社の商標、または登録商標です。なお、本文中では™、®マークは基本的に明記していません。

おすすめ記事

  1. ホーム
  2. 施設参謀マガジン
  3. 発注者目線の仕事術
  4. あくまで経営者目線で建物の価値を伝える