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地域発「社会先進立国」の実現 | 須永珠代氏×川原秀仁対談(1)

地域発「社会先進立国」の実現 | 須永珠代氏×川原秀仁対談(1)

日本の各地域が変革期を迎えている今、これからの日本をどう発展させていくのか、日本を元気にするヒントを探るべく『ふるさとチョイス』を企画・運営するトラストバンクの須永代表をお迎えして、お話を伺いました。第1回は、地域の魅力発見について伺います。

各地の〝当たり前〟は、〝特別〟ということが多い

須永さんはふるさと納税総合サイトを作るにあたり、地域の生産者の開拓を行ったと伺いました。

須永珠代

須永 日本にはひたむきに技術を磨き、農作物や工芸品を作り上げている人がたくさんいます。たとえば、鹿児島県のサツマイモ農家の方や、岩手県の青果店の方ほか、食べた方の笑顔が最優先。ふるさと納税のお礼の品を通じて、彼らの存在が広く知られ、地域が発展していくケースが多数生まれています。

川原 地域が活性化するのはまさに〝人ありき〞ですね。しかし、そういう方は、仲間内以外から、いわゆる変わり者扱いされて、なかなか外に出てきません。須永さんはそういう人々や生産物に対して〝外からの目線〞から発見し、世間に知らしめました。

須永 私は地域に行くと、その自治体や生産者の方と、心を開いて会話をします。家族、人生観など深いところまで語り合うのです。そこから出てくる地域の魅力を切り取るのですが、地元の人の〝当たり前〞というものが、実は私たちにとっての〝特別〞というものは多いと感じました。

ふるさとチョイス

品数No.1ふるさと納税サイト。全国各地のお肉、野菜・果物、お米など豊富な特産品を紹介しており、その数は14万品。クレジットカード決済や、電話やFAXでも寄附が可能。寄附上限額がわかるシミュレーターなども備えており、初心者にも分かりやすい設計がされている。
https://www.furusato-tax.jp/

経営者的視点が今後の自治体には必要

その一例といえば、地元の人に愛飲されてきた富山県氷見市の『はと麦茶』や、岡山県の『ジビエセット』、長崎県平戸市の『ウチワエビ』などで、ほかにも多くあるといいます。

川原秀仁

川原 外部的な思考というものが、いかに大事かということがわかります。これはすべての仕事に通じますね。そして、その魅力や技術・技能を経済活動に結び付けるには、経営者目線をもたねばなりません。

須永 そうなんです。ターゲッティングから、ニーズを作っていかなくてはならないのです。ふるさと納税は、一時期返礼品の豪華さばかりクローズアップされましたが、それは正しいかたちではありません。各地域が真に自立することがとても重要です。

川原 確かに、大都市一極集中の経済圏だと、いずれ日本は衰退してしまうと感じます。都市部は日本のほんの一部分です。地域を活性化させることは、日本の将来を左右する重要な問題と考えています。

須永 今、地域は急激な人口減にさらされています。メディア発信型のステレオタイプな情報にとらわれてはダメだと、地域を巡りながら感じました。

川原 日本全体の人口が減るのではなく、生産年齢人口が減るので、少子高齢化自体をネガティブに捉えるのではなく、お年寄りや女性をもっと活用していくなど、日本の仕組みを変革していけばサスティナブルになっていくはずです。

須永 ところで、川原さんはどちらのご出身ですか。

川原 佐賀県の唐津市です。住んでいるときは感じませんでしたが、東京から戻ると多様なポテンシャルがあると感じます。南蛮文化で栄え、焼き物などの工芸品が何百年も続いており、海産物も豊富、釣りやマリンスポーツも盛んです。総合力が高いのに、外にうまく伝えきれていないのです。

須永 そういうケースは多く、周辺のエリアと組み、広域で連携して活性化していくことを私たちも考えています。

対談を行ったのは『ふるさとチョイスCafé』

東京都千代田区有楽町1丁目12-1 新有楽町ビル地下1階
火曜日~日曜日(祝日含む)11:00~18:00 休月曜日

トラストバンクのスタッフが店頭に立ち、来店した方に、ふるさと納税の紹介・説明を行う。ふるさと納税についての相談、日本の地域の魅力を伝える映像や展示があり、地域の情報をキャッチできる。また、ふるさと納税のお礼の品、特産品・工芸品などの展示も行っており、自治体によるデモンストレーションなども行う。食べ物や飲み物の試食会や、イベントなども積極的に行われており、行くたびに日本の新しい魅力に気がつくスポット。

須永珠代

トラストバンク代表取締役
須永 珠代(すなが・たまよ)

大学卒業後、ITベンチャー、ウェブデザイナーなどの仕事を経て、2012年4月にトラストバンクを設立。 同年9月ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を立ち上げ、ふるさと納税ブームを牽引している。自治体、生産者との対話で、日本に眠る文化資産に気づき、世間に広めてきた。

川原秀仁

山下ピー・エム・コンサルタンツ 代表取締役社長
川原 秀仁(かわはら・ひでひと)

国内における建築・建設分野のプロジェクトマネジャー(PM)、コンストラクションマネジャー(CM)のトップランナーで、国内を代表するメガプロジェクトを多数手がける。PM/CMを普及させている草分け的存在。著書に『施設参謀』(ダイヤモンド社)がある。