週刊 施設参謀 週刊 施設参謀

経営課題を解決するファシリティ・
CRE戦略マガジン

パラダイムシフトの現場から

川原建設業は歴史の長い産業で、時間をかけて技術を成熟させ、一大産業となりました。それでも近年、社会や経済の変化を背景に、遅ればせながら大きなパラダイム転換の時期を迎えようとしています。この転換期をどう生き残るのか、あるいはチャンスに変えるのか。今日は印刷業の様子を教えていただき、お知恵を拝借できればという気持ちで臨んでいます。同じ建築の世界でも当社とは違った立場でお仕事をされている西田さんもお招きしました。まずは簡単に自己紹介を兼ねて、それぞれの会社の置かれた状況と姿勢を教えてください。

フィルムから印刷へ――それぞれのパラダイムシフト

藤原私はコダックに来て3年半近くになります。それまでは日本電子、SAPというドイツのIT企業、それからフィリップスでマネジメントをしていましたので、実は印刷業は門外漢でした。私自身は理科系ではありませんが、ハイテクに興味があって、一貫してその分野で仕事をしています。

コダックと言えば写真フィルム分野のリーディングカンパニーで、デジタルカメラを世界で一番早く開発したのもコダックでした。しかしご存知のように、その技術によってフィルム市場は急速に縮小していき、どのフィルムメーカーも方向転換を迫られました。コダックの場合は印刷機などに活かせるケミカル分野の技術を持っていましたし、印刷技術もM&Aで少しずつ拡大していましたので、企業向けイメージングビジネスに特化することになったのです。

カメラやフィルムのコダックとはずいぶん違う印象だと思いますが、コダックの印刷技術はコンシューマーには見えない部分で社会インフラに潜り込んでいまして、世界の印刷物の3分の1ぐらいはコダックの技術がからんでいると言われています。

西田大学を卒業してすぐ建築設計事務所を設立して、15年目になります。現在19人の会社ですが、若い頃は比較的小規模の住宅や商業の仕事からはじめました。個人住宅の設計を依頼されることが多かったのですが、現在は公共施設や商業施設も増え、また建築設計だけでなく施設の企画・運営まで引き受ける機会もいただいています。

その一つとして「ISHINOMAKI 2.0」という石巻の復興まちづくりに関わっています。石巻内外からいろいろな専門職の人が集まり、住民や地元企業の方たちと一緒に、この3年半で25のプロジェクトを立ち上げ、8個の拠点をつくりました。自治体主導のトップダウンでのまちづくりではなく、民間のプロジェクトが持つ小さな公共性を集積させることで、新しいまちづくりのプロトタイプにならないかという試みです。僕たちは設計者ですが、建物をつくることにこだわらず、街の営みのようなものをつくるお手伝いをしています。震災前から衰退していた中心市街地に商業施設を新築しても、いずれ立ちいかなくなるからです。

川原当社は建築設計や施工の会社ではなく、建設プロジェクト全体を統括するPM/CM専業の会社です。建設プロジェクトを実現させたい事業主のパートナーとして、戦略立案から運営開始までを速やかにつなぐ仕事です。マネジメント専業の建設系の会社は今のところほとんどありません。

当社が設立された90年代後半には、日本にこのような職能はありませんでした。2000年以降、不動産証券化がきっかけとなり、資金調達にファンドマネジャー、資産管理にアセットマネジャーがいるのと同じように、建設投資にCMという職能が根付いていきました。

同時にプロジェクトファイナンスが導入されたことで、日本の企業にも、人・組織・設備・知財などを総合的に使って経営をするという発想が生まれ、CRE(企業不動産)戦略が真剣に検討されるようになり、われわれの会社も担い手として注目されています。

最近ではPRE(公的不動産)戦略への関心も高まって、横浜新市庁舎建設、震災復興のお手伝いなど、公共性のある建設プロジェクトをまとめる仕事も増えています。

・株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツは、2018年4月1日に、株式会社山下PMCに社名変更しました。
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