週刊 施設参謀 週刊 施設参謀

経営課題を解決するファシリティ・
CRE戦略マガジン

PRE/CRE戦略を前提としたLCMと省エネルギー施策 PRE/CRE戦略を前提としたLCMと省エネルギー施策

『 変革 』

50数年ぶりの政権交代により今日本の政治体制が大幅に変わろうとしている。民主党政権においては、税金の無駄を無くし制度改革による経費削減を求めている。その一環として、特に行政改革による特殊法人、独立行政法人の整理合理化が顕著に推進されてくるものと思われる。この方策により各法人において、保有する合理的所有が認められない土地・建物などの資産(PRE:Public Real Estate)については、資産の利用度、有効活用の可能性の多岐、或いは効果的な処分を含め経済合理性の観点からその保有の必要性の見直しが求められてくる。

一方で企業不動産(CRE:Corporate Real Estate)においても、固定資産の減損会計などの企業会計制度の変更、不動産・金融市況の急激な変化を背景に、保有資産についての企業価値向上の観点から賃貸や売却を含めた最適な利用形態を検討することが重要になってきている。

このPRE/CRE戦略を立てる前提として、個々の建物についてのライフサイクルコスト(LCC)、利用価値、資産価値、収益性、適法性について検討のうえ、資産効用の最大化(LCM:Life Cycle Management)を図ることが求められる。

そのLCMの手法の一つとして、省エネルギー施策による水光熱費の削減により、正味営業収益(NOI:Net Operating Income)を向上させ、総資産利益率(ROA:Return On Asset)の向上を図ることが可能となる。

また、地球規模で実効性のある温室効果ガスの削減が急務であり、エネルギー消費量・CO2発生量削減が企業経営において重要な社会的使命となり、これらが相まってLCM計画を行う有力な動機となっている。

その導火線となっているのが、平成20年5月の「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」の改正であり、本年度(平成21年4月から平成22年3月)1年間のエネルギー使用量の計測・記録が必要となり、年間のエネルギー使用量(原油換算値)の合計が1,500kl 以上であればそのエネルギー使用量を企業単位で国へ届け出る必要がある。また、特定事業者もしくは特定連鎖化事業者として指定を受けると共に、エネルギー管理統括者・エネルギー管理企画推進者の選任、定期報告書・中長期計画書の提出が必要となったことは周知のことと思われる。

『 山下PMC が推進する省エネルギーマネジメント 』

当社はコンストラクションマネジメント(CM)、ライフサイクルマネジメント(LCM)、ファシリティマネジメント(FM)などの各種コンサルティング事業を展開している。このことから、複数施設を直接所有されている企業、不動産投資信託(REIT)物件の投資法人・運営企業などの要望にたいして、省エネルギー診断から、省エネルギー・省CO2改修を実行するための、調査・企画・基本計画、設計・施工者発注支援、設計・施工品質管理といったワンストップサービスで行う省エネルギー・省CO2マネジメント業務に力を入れ取り組んでいる。

図-1 省エネルギー提案の分類実効性のある省エネルギー対策を行うためには、「現在のエネルギー消費量・運用方法・設備機器の状態」を正しく把握し、図-1に示すように初期投資によって、運用チューニングによる項目、短期に回収可能な項目、リニューアルを伴う項目に大別し、「初期投資に対する省エネルギー効果の最大化」を追求した検討が重要となる。


図-2 施設劣化の分類 また、省エネルギー対策を実行する際に、当社は単なる一時的な省エネルギー改修にとどまらず、FM/LCMの観点から、施設における中長期修繕計画と省エネルギー対象項目を双方向で整合性を図り、実施項目の選定に努めている。更に図-2に示すように施設の『物理的劣化』に対する改修費用のみ考えるのではなく、『経済的劣化』、『社会的劣化(機能)』を総合的に判断し、運用費の削減と共に資産価値向上(Value UP)を図るための『省エネルギーマネジメント』を遂行している。

『 低炭素社会の実現に向けて 』

日本の経済活動がフローからストック重視への転換期を向かえている昨今、各企業においては継続的なCRE戦略ならびにLCM計画に伴う省エネルギー・省CO2対策が必修となってくることから、省エネルギー・省CO2改修(リノベーション)のニーズはますます高まると考えている。

但し、そのためには一民間企業の設備投資のみに依存するのではなく、低炭素社会に向けての制度補完と、それに伴う政策的助成の強化による補助金制度の活用が必須である。

当社も省エネルギーマネジメントを通じて、ストックを有効活用することでエネルギー・資源の節約を促進し、持続可能な循環型社会へのシフト、ひいては低炭素社会の実現に一役を担えればと考えている。