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パラダイムシフトの現場から|藤原浩氏×西田司氏×川原秀仁座談会 パラダイムシフトの現場から|藤原浩氏×西田司氏×川原秀仁座談会 パラダイムシフトの現場から|藤原浩氏×西田司氏×川原秀仁座談会

2014年に公共工事の品確法が改正され、建設の生産方式が大きく変わりつつまります。これは建設業界の構造を変えるパラダイムシフト。多くの産業が一大構造変革を果たしてきましたが、建設業界もようやくその兆しを見せています。その核心はどこにあるのでしょうか? それは業界内外の企業に対し、どのような影響をあたえるのでしょうか?


フィルムやデジタルカメラから企業向けイメージングビジネスへの移行で大変革を遂げたコダック代表の藤原浩氏、個人建築設計事務所のフィールドを拡大させつつあるオンデザインパートナーズ代表の西田司氏、そして山下PMC代表の川原秀仁。異業種の企業人に、それぞれのパラダイムシフトを語りつつ意見交換をしていただきました。

藤原 浩ふじわら ひろし1957年生まれ。大学卒業後、日本電子(株)に入社。1995年より独ソフトウェア会社の日本法人・SAPジャパン(株)において、また2007年からはフィリップス エレク卜ロニクス ジャパンのへルスケア部門において、代表執行役社長やCOO等を歴任。2011年、コダック(株)において常務取締役グラフィック コミュニケーション事業部長兼コンシューマービジネス事業部長に就任。グローバル企業での経験を元に日本市場での新たなビジョンや戦略を策定、その達成に向けリーダーシップを発揮し、2012年に代表取締役社長就任。2013年12月、会社改組によりコダック合同会社代表執行役員社長に就任、現在に至る。

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西田 司にしだ おさむ1976年生まれ。1999年横浜国立大学工学部建築学科卒業。2004年、オンデザインパートナーズ設立。個人住宅や商業施設等の設計を数多く手掛けるほか、建築設計のフレームワークを超えた活動も注目されている。「ヨコハマアパートメント」で日本建築家協会新人賞(2011年)、「FIKA」で東京建築士会 住宅建築賞(2013年)、また理事を務める「ISHINOMAKI 2.0」でグッドデザイン復興デザイン賞(2012年)、地域再生大賞特別賞(2014年)ほか、受賞多数。

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川原 秀仁かわはら ひでひと1960年生まれ。山下ピー・エム・コンサルタンツ代表取締役社長。大学卒業後、農用地開発/整備公団、農水省、JICA等を経て、山下設計に入社。1999年より山下PMCの創業メンバーとして参画し、国内CM技術の礎を築く。メガプロジェクトを中心に代表的CM/PM案件に従事し、事業創造と事業推進の融合を模索。主な受賞に2012年国際CMコンクール準グランプリ(武田薬品工業湘南研究所プロジェクト)ほか。

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川原建設業は歴史の長い産業で、時間をかけて技術を成熟させ、一大産業となりました。それでも近年、社会や経済の変化を背景に、遅ればせながら大きなパラダイム転換の時期を迎えようとしています。この転換期をどう生き残るのか、あるいはチャンスに変えるのか。今日は印刷業の様子を教えていただき、お知恵を拝借できればという気持ちで臨んでいます。同じ建築の世界でも当社とは違った立場でお仕事をされている西田さんもお招きしました。まずは簡単に自己紹介を兼ねて、それぞれの会社の置かれた状況と姿勢を教えてください。

フィルムから印刷へ――それぞれのパラダイムシフト

藤原私はコダックに来て3年半近くになります。それまでは日本電子、SAPというドイツのIT企業、それからフィリップスでマネジメントをしていましたので、実は印刷業は門外漢でした。私自身は理科系ではありませんが、ハイテクに興味があって、一貫してその分野で仕事をしています。

コダックと言えば写真フィルム分野のリーディングカンパニーで、デジタルカメラを世界で一番早く開発したのもコダックでした。しかしご存知のように、その技術によってフィルム市場は急速に縮小していき、どのフィルムメーカーも方向転換を迫られました。コダックの場合は印刷機などに活かせるケミカル分野の技術を持っていましたし、印刷技術もM&Aで少しずつ拡大していましたので、企業向けイメージングビジネスに特化することになったのです。

カメラやフィルムのコダックとはずいぶん違う印象だと思いますが、コダックの印刷技術はコンシューマーには見えない部分で社会インフラに潜り込んでいまして、世界の印刷物の3分の1ぐらいはコダックの技術がからんでいると言われています。

西田大学を卒業してすぐ建築設計事務所を設立して、15年目になります。現在19人の会社ですが、若い頃は比較的小規模の住宅や商業の仕事からはじめました。個人住宅の設計を依頼されることが多かったのですが、現在は公共施設や商業施設も増え、また建築設計だけでなく施設の企画・運営まで引き受ける機会もいただいています。

その一つとして「ISHINOMAKI 2.0」という石巻の復興まちづくりに関わっています。石巻内外からいろいろな専門職の人が集まり、住民や地元企業の方たちと一緒に、この3年半で25のプロジェクトを立ち上げ、8個の拠点をつくりました。自治体主導のトップダウンでのまちづくりではなく、民間のプロジェクトが持つ小さな公共性を集積させることで、新しいまちづくりのプロトタイプにならないかという試みです。僕たちは設計者ですが、建物をつくることにこだわらず、街の営みのようなものをつくるお手伝いをしています。震災前から衰退していた中心市街地に商業施設を新築しても、いずれ立ちいかなくなるからです。

川原当社は建築設計や施工の会社ではなく、建設プロジェクト全体を統括するPM/CM専業の会社です。建設プロジェクトを実現させたい事業主のパートナーとして、戦略立案から運営開始までを速やかにつなぐ仕事です。マネジメント専業の建設系の会社は今のところほとんどありません。

当社が設立された90年代後半には、日本にこのような職能はありませんでした。2000年以降、不動産証券化がきっかけとなり、資金調達にファンドマネジャー、資産管理にアセットマネジャーがいるのと同じように、建設投資にCMという職能が根付いていきました。

同時にプロジェクトファイナンスが導入されたことで、日本の企業にも、人・組織・設備・知財などを総合的に使って経営をするという発想が生まれ、CRE(企業不動産)戦略が真剣に検討されるようになり、われわれの会社も担い手として注目されています。

最近ではPRE(公的不動産)戦略への関心も高まって、横浜新市庁舎建設、震災復興のお手伝いなど、公共性のある建設プロジェクトをまとめる仕事も増えています。