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週刊 施設参謀

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発注者目線の仕事術 発注者目線の仕事術

vol.07改正品確法の施行で
重要さ増す基本設計

川原 秀仁

講師:川原 秀仁代表取締役社長
1960年生まれ。日本大学を卒業後、農用地開発公団(当時)、農林水産省、国際協力機構を経て山下設計入社。1999年から山下PMC。。創業メンバーとして参画し国内CM技術の礎を築く。現在は新国立競技場発注者支援業務の管理技術者を務める

公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)が、今年6月に改正された。「多様な入札および契約の方法」として一節を新設し、工事の性格や地域の実情などに応じた発注方法を、発注者となる公共団体が選べるようになった。

これまで公共建築は設計と施工の分離発注を原則としていた。設計事務所が基本設計と実施設計を担当し、それに基づいて発注者が予定価格を設定。入札を実施して施工者を決定するという流れだ。

しかし、品確法の改正に伴って示された「発注関係事務の運用に関する指針」(骨子イメージ案)では、多様な契約方式の事例として、「設計段階から施工者が関与する方式(ECI方式、アーリー・コントラクター・インボルブメント)」や「詳細設計付き工事発注」、「設計・施工一括発注」、「CM(コンストラクションマネジメント)」、「事業推進PPP」といった方式が盛り込まれている。

施工者の参加タイミングを前倒しにするこれらの発注手法は、民間の大型プロジェクトでは既に広がりつつある。公共建築でも震災復興関連事業や五輪関連施設のように、緊急性が高い事業で導入が進んできた。品確法の改正は、こうした状況を追認して後押しするものだ〔図1〕。

改正公共工事品確法が揺るがす設計プロセス

[図1]
改正公共工事品確法が揺るがす設計プロセス
今までの(1)基本計画、(2)基本設計、(3)実施設計、(4)施工、という段階を踏んだプロセスから、(2)と(3)のオーバーラップが進むだろう

震災復興や五輪が契機

例えば東日本大震災の復興事業が進む岩手県釡石市や宮城県女川町では、ECI方式を採用する。施工予定者は前倒しで事業に参加することで、実施設計のプロセスを設計事務所と共有する。実施設計業務のうち、工法の提案や工事費の見積もりといった要素を施工予定者が分担することで、合理的かつ効率的に事業を進めるのが目的だ。工期の短縮や、相次ぐ入札不調対策としても効果を見込む。

実施設計を施工予定者に任せる方式もある。東京都が五輪関連施設で進める設計・施工一括発注方式では、設計事務所が担当するのは基本設計だけで、実施設計からは建設会社などの建設共同体が引き継ぐ。設計事務所は基本設計の終了後、発注者支援などを手掛けるアドバイザリー業務を担う枠組みだ。

・株式会社山下ピー・エム・コンサルタンツは、2018年4月1日に、株式会社山下PMCに社名変更しました。
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