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建設業界のカスタマージャーニーを刷新せよ! オムニチャネルで実現する“ひとりでに売れる仕組み” 〈後編〉

カスタマージャーニーに注目して「体験」を構築する

あらゆる場面から自社情報にアクセスできる・調べられるというルートを整えるとき、必ず考えなければいけないのは最終的な顧客体験の質です。自社の商品やサービスを採用してくださったクライアントはどんな入口から企業を知り、なぜ決断したのか。どんなところで満足し、何を物足りないと感じたのか。お客さま目線で見た道筋は「カスタマージャーニー」と呼ばれます。

満足度が高かったクライアントの「カスタマージャーニー」を分析すれば共通点があります。どのクライアントも同じポイントを通過できるようにルートを設計すれば、自ずと満足度が高い体験をするクライアントが増えるでしょう。体験の評判が高まれば「あなたの会社に頼みたい」と特命で受注できる案件も増えるはずです。

山下PMCではさらにルートの分析を進めて、クライアントの「知る→調べる→選ぶ→リピーターになる」というプロセスをより少ない工程で実現できる仕組みを構築しようとしています。できるだけコストをかけずに“ひとりでに売れる”を実現し、既存のパイを奪い合う厳しい営業活動から脱却するためです。

こういったオムニチャネル概念の活用は、小規模企業や地方企業など時間や空間にハンデのあるケースのほうが大きな効果を得られると感じます。また、伝統的な価値観や技術を持った業界でも活用が望まれるのではないでしょうか。

たとえば、新潟の青木酒造では、自社製品の情報やビジュアルを揃えて国内外のユーザーが使いやすい販売ルートを構築しました。売上も倍増に近いほど伸ばしています。海外からの旅行者を迎えるインバウンド業界もオムニチャネル化が熟成し、日本を知ったり経験したりするさまざまなサービスの「入口」と「出口」がスムーズにつながっています。今はバラバラに存在する工芸や職人技術の世界も、オムニチャネルを意識する人が増えれば流れが変わるはずです。

建設業界では何ができるか

今後は業界別に発展していたネットワークがさらにつながり、世界そのものがインテグレーテッド化されていくと予想しています。しかし、いざその機会が訪れてもこのままでは建設業界は取り残されてしまいます。旧来の「カスタマージャーニー」を刷新できていないからです。

私たちが古い体質のままでいる間に、クライアントが情報を受け取るルートとツールは大きく変化しました。これからは、さらなる情報通信の高速化(5G対応など)、モバイルの普及、情報のプラットフォーム化・パーソナライズ化、課金システムのサブスプリクション化が進むでしょう。でもこれらが世間の「当たり前」になった頃に慌てて業界システムを整えようと思っても、もう手遅れです。

まず人的リソースに頼る営業活動を見直し、ITツールによる窓口を増やすこと。そこから流入したクライアントが迷わず快適に発注できる手順を整えること。いきなりすべての窓口をシームレスにつなぐオムニチャネルは無理でも、その前段階であるマルチチャネル化、つまり入口を増やす施策ならすぐ実行できると思います。

オムニチャネルの試みは、一社だけが飛び抜けるより多くの企業が参画したほうが効果的です。業界全体で「新しくなった」「便利になった」と印象づけ、クライアントの心理的なハードルを下げることが可能になるからです。またITツールがあれば企業間の情報共有が迅速になり、パイを奪い合う営業ではなく、クライアント目線で最適なサービスを紹介し合うシェアリングの世界が広がるのではないでしょうか。建設業界も早くこの領域に足を踏み入れるべきです。

山下PMCは数年前からオムニチャネル化の成果を得てきました。今後は情報の双方向化を進める予定です。クライアントがこちらへ発注するベクトルだけでなく、山下PMCの存在や価値についても瞬時にクライアントへ伝えるベクトルも整備する。さらなる情報と窓口のシームレス化を展開していきます。

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