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建設業界のカスタマージャーニーを刷新せよ! オムニチャネルで実現する“ひとりでに売れる仕組み” 〈前編〉

マーケティングの正しい定義とは?

建設業界の営業といえば、営業職の社員が地道に企業を訪問して契約につなげるのが未だ主流です。この方法は人的リソースが多く求められ、訪問のための時間的・経済的コストがかかってしまいます。また、多くの人が「マーケティング」の定義を市場調査をもとに「いかに他社からパイを奪うか」としているため、消耗戦に陥っています。

しかし、私は、山下PMCの営業をこういった旧来のスタイルからは脱却させたいと考えました。「マーケティング」の意味を「クライアントが真に求めるモノやサービスが“ひとりでに売れる”仕組み作り」と捉え直し、他社とは違う活動を行おうと思ったのです。

もともと山下PMCは営業専業の社員を置いていません。スタートアップ時に採用したスタイルは技術力とマネジメント力がある幹部がクライアントにプレゼンする方式でしたが、それでは他の社員が新しい仕事を創造するマインドやワクワク感を体験する機会がありませんでした。

また、当社がお付き合いさせていただいたクライアントの方には「こういう会社があって良かった」と満足していただけることが多いのですが、その顧客体験をうまく次のクライアントに理解いただくルートが確立しておらず、これらを打破する新しいアイデアをずっと探していました。

小売業のオムニチャネルは他産業でも応用できる

私がまさに悩んでいた頃、2015年11月に小売業界で総合通販サイト「オムニ7」を発表したのがセブン&アイホールディングスです。「オムニ」とはラテン語由来で「すべて」の意を持つ接頭語です。彼らが構築したのはグループのリアル店舗・ネット店舗・利用客をシームレスにつなぐオムニチャネルという仕組みでした。ネットで注文した品をリアル店舗で受け取れたり、リアル店舗でスマートフォンをかざして決済と配送まで手配できたり、お客さまの利便性からIT技術と物流ルートを見直して小売の「入口」と「出口」の自由度を高めたのです。

この「オムニ7」が知名度を上げたため、オムニチャネルというと小売業のマーケティングだと思われがちです。しかし、本質を見ると他産業やB2Bビジネスでも応用できる要素がたくさん含まれていると気づきました。

たとえばお客さまの入口を増やす戦略としてネットでの接触機会や窓口を作れば、そこから直接受注する道がひらけます。対面だけでなく、お客さまが知りたい情報にアクセスできるタッチポイントを増やせば機会を逃しません。

「オムニ」の意の通り、どこからでもクライアントが関わることが可能になればいいのです。それはちょうど、パチンコ台のチューリップがすべて開いている状態を維持するのに似ています。さまざまな方向から流れてくるパチンコ玉を、さまざまな場所で開いているチューリップがキャッチする。

自社営業、他社紹介、オウンドメディアなどは建設業界でもよくある顧客流入ルートです。ほかにもSNSを用いたバイラルマーケティング、スマートフォンやタブレットなどあらゆる端末でわかりやすく表示・案内を行えるインターフェイス、業界紙や専門誌に絞った広報戦略など、整えられる道を見つけて山下PMCでは積極的に入口を増やしていきました。

“ひとりでに売れる“が実現すると、社員は売上成績に囚われることなくクライアントに向けた仕事だけに集中できます。プロジェクトの質が上がり、その成果がうまくオムニチャネルの中でPRされると、また“ひとりでに”新しいクライアントがアクセスしてくれます。

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