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建築業界でも、デジタルでは代替できない人財育成を AI・IoT時代の真のリアルとは?〈前編〉

リアルとサイバーの境界線

さまざまな業界でIoTやAI技術が急速に浸透し、生活や仕事の情報のデータ化・可視化が進んでいます。リアル(人的リソース、物理的空間・モノ)とサイバー(デジタル、ネットなど)の世界はシームレス化し、より緊密になろうとしています。しかし、建築業界においては、リアルだけを重視する旧来の制度や慣習から抜け切れず、デジタル化が進んでいるとは言えません。

たとえば、私たちが建築プロジェクトをご支援している製造業では、人が企画・開発するリアルな本部機能と、デジタル化や自動化が進んだ生産・販売拠点とに分かれています。拠点の主な役割は本部から指示された通りの製造販売を行うこと、販売状況などを逐次中央に知らせるセンシングのみで、担う領域がくっきり区別されています。各拠点から吸い上げられた情報は本部に集約されてビッグデータとなり、マーケティング、イノベーションの源泉となります。このようなオムニ・チャネル化は、製造業だけではなく、あらゆる業界に拡がっています。

不動産の世界でも、建築物というリアルとともに注目されているのが、施設のデータを取り込んで通信や物流などニューインフラと結びつけるサイバー技術です。単に建物を安全に作るだけではなく、その後の運用を考えたデータ取得とデータ活用まで考えます。ユーザーのデータをうまく使えばアイドリングエコノミーやシェアリングエコノミーのような新たなマーケット誕生の可能性が高まります。

メディアの世界も同じです。受像器だけを端末としてマスに向けてコンテンツを編集・放映してきたテレビ局のようなリアル重視の企業と、デジタルデータをパーソナルに向けて配信するサービスを作り、編集にもデータデリバリーにも新しいテクノロジーを活用するサイバー重視の新興企業とで領域を大きく二分しています。

デジタル・ディスラプションの波

言い換えれば全産業がロボット工学やブロックチェーンを融合させた「第4次産業革命」の波にさらされているのです。デジタル・ディスラプション、つまりデジタルによる破壊と表現する人もいます。この波に乗ってさらなる進化を遂げて次世代につないでいくのか、波にのまれて衰退していくのかは、これからの判断と行動によります。

ここまで述べると「では通信やデジタルのテクノロジーをもっと進化させなければいけないのか」と考える人もいるかもしれません。確かに旧来のアナログなやり方では世界の変化のスピードについていけず、デジタルに慣れたユーザーのニーズに応えるのは難しいでしょう。

ただ、だからといってデジタル一辺倒の進化を目指すのは本末転倒だと考えます。なぜならどのサービスや製品も先には必ず「人」が存在し、その人々のニーズを正確にくみ取ることができるのも「人」しかいないと思うからです。

製造業、不動産、メディア、どの業界でも、AIだけできることに限りはあります。テクノロジーを駆使して利便にすることは可能ですが、何を利便化すれば喜ばれるのか、市場を広げられるのかを発想できるのは「人」です。これは建築業界にも当てはまります。

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