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人口減と社会システムの変革は不可避 – 首都圏を例にした健康長寿社会の未来像とは〈前編〉

1968年の「1億人」と2045年の「1億人」は違う

すでに「人生80年時代」という言葉を通り越し、「人生100年時代」が謳われ始めています。以前なら60代で職をリタイアした後の時間は余生と呼ばれ、「最低限の生活ができて無事に過ごせればそれでいい」と考えられていました。しかし私たち世代のリタイア後は30年、40年と続く長い時間です。余生どころか第二の人生といってもよいほどで、寿命までどう過ごすかは社会にとっても個人にとっても大きな課題です。

2045年頃には、日本の総人口は1億人まで減ると予測されています。日本の人口が初めて1億人に達したのは1968年頃でした。それに対して2045年の1億人は人口がどんどん減少した結果であり、1968年とは性質がまったく違います。たとえば1968年の人口に占める65歳以上の高齢者割合はたった7%でしたが2045年の予想は40%、日本全体の10人に4人はシニア世代です。残り6人の若い世代がそれらを支えていかなければいけないのです。

この少子高齢化は地方の問題として注目されていますが、首都圏も例外ではありません。東京は1964年のオリンピック開催を契機に人が集まり、「山手線圏内」という新しいブランド価値を生みました。そこから新宿、渋谷、池袋などの副都心が郊外との結節点となり、私鉄が延びて西東京・埼玉地域に住宅街ができ、各沿線の郊外だけで300万人近い人口を擁して今に至っています。しかし近年、団塊ジュニア世代が社会経済の担い手となってからこの流れに変化が出ています。

生まれてくる諸問題は変革のきっかけになる

1つは都心回帰の流れです。山手線圏内で形成された「山の手」の都市生活が品川や豊洲などの東京湾岸地域に広がり、いわゆる「海の手」を含んだ住宅圏になりつつあります。このエリアではIoTや自動化技術、水上インフラが発展して、今後も都市の利便性が担保されると考えられます。都心へのアクセスや居住地のブランド性を求める人は、多少生活費が上がってもこのエリアを選ぶでしょう。

もう1つは国道16号沿線への人口移動です。都心から約40kmの距離をぐるっと囲むこの地域は、横浜市、八王子市、川越市、春日部市、柏市、千葉市などを含みます。都心より家賃や物価が安く、団塊・団塊ジュニア・その子ども世代でともに一軒家に住まうことが可能なため、都内から転居する人や地方から親を呼び寄せて同居するケースが増えました。

その結果、山の手や海の手という都心在住者と、国道16号沿線の郊外在住者に人口が集中し、間の地域から人が減ってスポンジ化現象が起きつつあります。人口が減った地域では空き家問題が浮上し、また、人口が集中した都心と郊外では高齢者の割合が増えて大量の医療介護問題が発生するのは必至です。

この状況の中で、高度経済成長期と同じ方法のまま社会経済が立ち行くわけがありません。ニュースや雑誌でも将来の不安を煽る報道がたくさん出ています。ただし私はネガティブな意味でこの現象を捉えてはいません。なぜなら、これらの課題の見直しが「新しい社会システムを構築する好機」だと考えるからです。

郊外の中都市群は、圏央道やリニアモーターカーなど新しいインフラとのいわば結節点です。1960年代に新宿・渋谷・池袋が副都心という結節点となって郊外へ新しい暮らし方を広げたように、現在人口が集中する新結節点を生かせば今後の人口構成に見合った仕組みがうまく作れるのではないでしょうか。

そのために今考えるべき施策は、施設活用というハード面と、制度を含めたシステム改善というソフト面の2つです。これを両輪として中都市群の結節点にシステムを集中させれば、課題のいくつかは解消すると考えます。実際に働きかけている案件や施策も存在します。

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