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日本でも15兆円規模のスポーツビジネスの可能性 – 人と地域、文化をつなぐ施設をもっと広げよう〈後編〉

「スポーツ」を狭めてしまう日本の固定観念

アメリカと日本を比べたとき、最も大きな障害となるのは「スポーツ」の捉え方です。日本は昔から教育上の「体育」と「スポーツ」を深く結びつけていて、ビジネスとはかけ離れた存在として扱ってきました。今でも「スポーツ」の精神性が非常に尊ばれているために「スポーツでお金儲けをしましょう」という話には難色を示す人が少なくありません。

しかしアメリカでの「スポーツ」はエンターテインメントの一種です。「スポーツ」を使って人を集め、人を楽しませ、集客によって利益を生み出すビジネス要素として活用しています。日本でもプロスポーツはいくつかありますが、大きな経済的成功に結びついていないのはこの捉え方の差に原因がありそうです。

また、アメリカのボールパークには「見せる」という大きな特徴があります。球場を取り巻くコンコースは観戦客以外の人も自由に往来でき、ゲームが行われていれば球場内の雰囲気を少し体感できます。しっかり観戦したい人はお金を支払ってスタンドに入り、より充実した環境でゲームを楽しめます。たとえばサンディエゴ・パドレスの本拠地、ペトコ・パークのコンコースは商業スペースやヒルトンホテルを含んだ壮大な造りになっています。

日本の現在の球場は、逆に「閉じる」のが特徴です。入場料を支払わなければ中が見えず、せっかく球場まで来ても雰囲気を味わうことすらできません。これから各所で具現化するボールパークはまさにこの「閉じる」を「見せる」に変え、多くの来訪者に楽しんでいただく場所にしようという試みです。

あえてチラ見せをし、関心を引き、お金を払ってでも見たくなる環境を作る。もちろんお金を払わずに歩き回るだけでも楽しめる場所や仕掛けを併設し、できるだけ気軽に足を運んでもらえるようにする。この転換だけでも日本のスポーツビジネスは大きく変革できるのではないでしょうか。

どんな規模・地域でもスポーツビジネスは可能

有名な球場やスポーツ施設だけを例にとると「自分の地域では難しい」と感じられるかもしれません。しかし、スポーツをエンターテインメントの一環として捉え直し、既存の施設を見直すと、これはどんな規模・地域でも実践することが可能です。

活用できていない公園や施設があるなら、今までの常識を超えた「開放」によって人を集め、稼げる場所に変えられるかもしれません。地元のプロチームがあるなら、彼らと協力して新しいイベントが起こせるかもしれません。プロが生活するためのスポーツと住民やファンが楽しむためのスポーツを両輪にすれば、地域を盛り上げられるからです。

同様のアイデアを温めている人財は日本中にいると感じます。私自身、さまざまな地域の自治体や企業へ行くと「スポーツで稼ぐこと」に前向きで理解ある方に多く出会います。地方ならスポーツと観光を絡めながらエンタメ色を融合した空間を創出するのが最も早く、既存のリソースを活用した事業化ができるはずです。産と官が同じメリットで連携できるとビジネスは加速し、その好例が千葉市や北広島市といえます。

スポーツビジネス参画者の多様な意見を束ねる新しい建築プロジェクトスキーム


プロジェクトマネジャーが関係者をつなぎ、ステークホルダー間の課題を吸い上げ、ベストなソリューションを提供し続ける

日本には球技以外にもさまざまなスポーツが存在します。それは、今後さまざまな形態でスポーツをエンタメとして扱えるということです。これからも私たちが積極的にハブとなってスポーツビジネスが成り立つことを証明し、オリンピック・パラリンピックが終了する2020年以後も次世代が活用できる事業として継続可能な環境を作っていきたいと思います。

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