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日本でも15兆円規模のスポーツビジネスの可能性 – 人と地域、文化をつなぐ施設をもっと広げよう〈前編〉

日本でも複合的なスポーツビジネスが認知され始めた

最近は、スポーツビジネスと施設に関するニュースがよく取り上げられるようになりました。特に目立つ動きをしているのがプロ野球界で、横浜DeNAベイスターズの施設改革や新事業計画はスポーツビジネスの新しい形として注目されています。日本ハムファイターズ本拠地の北海道・北広島市移転については、ボールパーク化構想とともに球団と地域の関係が見直されました。また、千葉ロッテマリーンズの本拠地ZOZOマリンスタジアムのすぐ近くの海浜幕張公園には「JFAナショナルフットボールセンター(仮称)」が建設されることが決定しており、スポーツを軸に複合的なにぎわいをもたらす、これからの施設のあり方として話題になっています。

実は上記の3プロジェクトには弊社が関わっています。単なる建て替えだけでなく、施設参謀として将来の事業をどう伸ばしていくかを視野に入れ、地域のお客様とともに歩む構想も含めて計画してきたものです。これらのニュースがメジャーになるにつれ「球場1つだけで展開するビジネスよりも多くの人や企業を巻き込んだビジネスのほうが今後の見込みがある」という事実が以前よりは知られてきたのではないでしょうか。

私が複合的なスポーツビジネスの可能性を具体的に検討し始めたのは、2013年に弊社が「新国立競技場等整備に係る発注者支援業務の公募型プロポーザル」において発注者支援業務を担うことになってからです。この直後に2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決まり、日本でも未来につながるスポーツビジネスを構築する重要性を認識しました。一時だけ盛り上がる祭りにしてしまうのではなく、継続的に事業が回る仕組みを作ってスポーツとそれに付随する新しい文化を浸透させられるチャンスだと感じたのです。

アメリカの「ボールパーク」を手本にビジネスを展開

しかし、これまでの日本ではスポーツビジネスがうまく根づいていませんでした。市場データなどをもとに私が試算したところ、アメリカのスポーツ市場規模は1990年代に日本円に換算し20兆円弱だったものが現在は60兆円近くまで伸びています。対して日本は1990年代に6兆円あったものが現在は5兆円まで減っています。単純にアメリカのGDPが日本の3.4倍であることを考えると、現在の日本のスポーツ市場規模は18兆円規模になっていてもおかしくないのに、まったく足りません。

私は不足部分に疑問を感じ「なぜこの20年でアメリカのスポーツ市場規模が伸びたのか」調べてみたところ、「ボールパーク」が大きなカギを握っているのだということがわかりました。球団や球場単体だけでお金を稼ぐのではなく、周囲一帯をパークとして設定し、さまざまな業態や企業、商業施設を組み合わせてスポーツ産業を成立させているのです。

日本でもスポーツ庁が設置され、彼らは「スポーツ市場規模を15兆円まで引き上げる」という目標を掲げています。もし私たちが建設や不動産を活用してサポートするなら、アメリカの「ボールパーク」を手本とするのが最も成果が出しやすく、新しいスポーツビジネスのあり方を日本で明示できると考えました。そこから種をまき始め、徐々に皆さんの前に形として現れるようになったのが、冒頭でご紹介した3つのプロジェクトです。

千葉ロッテマリーンズと千葉市は従来のルールを変え、指定管理者制度によって球場の収入をダイレクトに球団の収益として扱えるようにしました。日本ハムファイターズはスポーツによって地域振興を進めたい北広島市から優遇措置を受けつつ、球団にも地域にもメリットがあるビジネスを模索しています。私たちも施設というハードを構築しつつ、運用などのソフト面でもアドバイスをさせていただいています。

ただ、これらはスポーツビジネスを広めるための第一歩でしかありません。本当に「日本ならではのスポーツビジネス・スポーツ文化」を根づかせるためには、まだまだ多くのハードルが残っています。

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