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新旧メディアの群雄割拠が続く今だからこそ、改めて「メディアの役割」を意識した戦略を〈前編〉

旧来の巨大メディアと新興メディアの意外な共通点

私たちが住む現代社会では、次世代産業モデルが刻々と姿を変えています。変化を進めるエンジンとなっているのは「情報」と「お金」です。たとえビジネスモデルが移り変わったとしても、この2つが世の中を廻していく原動力であることはこの先も変わらないでしょう。

社会で「情報」の流通を担っているのがメディアです。おそらく皆さんが最初に浮かべるのは旧来から存在する巨大メディアではないでしょうか。百年以上にわたって文字情報を配信している新聞、電信技術を使って音声を届けられるようになったラジオ、さらに映像まで送れるテレビは現代でも欠かせません。さらにインターネットの発達に伴って生まれた新しいメディアの成長はめざましいものです。Yahoo!やGoogleが配信するネットニュース、個人が手軽に発信できるブログやSNSのほか、最近は旧来メディアと重なる領域へ進出したIT系メディアもあります。

AmazonやNetflixなどは販売や映像配信という事業だけでなく、自前でコンテンツ制作を始めたり配信プラットフォームを整え始めたりしています。巨大資本を持ったGoogleも独自の端末やスキームを使って世界中のユーザーを取り込もうとしています。

メディアの入口・出口、つまり情報のポータルとデリバリーの方法は日々新しいものが提示されるようになりました。ここ10年ほどで利用され始めたメディアは数多く、一見、新興勢力のIT系メディアが力を増しているように思うかもしれません。しかし実は、新旧どちらのメディアもある共通項を持っています。それは「まだ今後の主流メディアを見極められていない」という点です。

メディアは生き残るために新しいマネタイズを模索

現在事業を展開しているメディアを並べると、まさに群雄割拠の様相です。旧来メディアはピーク時より明らかにユーザー数を減らし、柱だった広告収入が激減しました。そのお金は新興IT系メディアへ流れて莫大な収益をもたらしています。ただし、上記のようなトレンドはあるものの、それは「今」に限っての現象であって今後数十年にわたるトレンドとは言い切れません。なぜなら、今後さらに情報伝達の新しいテクノロジー、企業、仕組みが生まれてくると予想できるからです。

たとえば今フィンテックの世界で使われているブロックチェーンの技術は、情報伝達の領域でも応用されるはずです。中央集権的に情報を囲い込む巨大メディアが業界を牛耳った時代はすでに終わりました。個人単位でリアルタイムに近いタイミングで新鮮な情報をやり取りするようになった今、ブロックチェーンを使って安全性や守秘性が高まればもっと重要な情報が高速で行き交うでしょう。


主要な新聞社や放送局は時流を読み、これまでのメディア経営を主力としたビジネスモデルから脱却しようと新しいマネタイズやコストカットを試みています。大都市で所有している不動産を活用したCRE戦略や制作のアウトソーシングなどは代表的な成功例です。地方局や地方新聞社でも新しい動きが出てきました。大分朝日放送は2016年に、あえて民放初となる高額な4K放送の一貫制作設備を導入。全国から共同制作の引き合いが来るなど放送料以外の収益につなげています。佐賀県ではタイのドラマや映画の舞台になった祐徳稲荷神社を基点に、地元メディアや旅行会社などがアジア圏へのセールスを強めています。

従来の方法では立ち行かなくなるのは自明です。そこで、どの企業もメディアとして情報伝達という役割は主眼に置くものの、単に情報を媒介するだけではない新しいメディアの形を模索しているのです。明確な答えはまだ誰も持っていません。では、建設や不動産を扱う私たちは彼らの姿を見ながらどんな道を進めばよいのでしょうか。

取材・文/丘村奈央子、撮影/末安善之

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