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フィンテックから始まる技術と産業の革新 金融だけに留まらない「ブロックチェーン」の重要性〈前編〉

金融ビジネスの変化により、新技術が広まりつつある

今後、日本の社会経済が進もうとする先には、技術力の堅持・クールジャパンの国づくり・国内インフラとREの再構築・健康と少子高齢化対策という4つのキーポイントがあります。それらを動かすためのエンジンとして「情報」と「お金」の供給が欠かせません。情報流通、いわゆるメディアの市場規模は30兆円、金融の市場規模は20兆円といわれていますが、将来は両者のプレイヤーと事業の仕組みがそっくり入れ替わると考えています。なぜなら金融ビジネスで生まれた技術が生活すべてにまで波及すると予想するからです。

今、一番めざましく発展しているのはフィンテック、中でもビットコインをはじめとする仮想通貨は大変な勢いで浸透しようとしています。単なる投機対象ではなく価値を交換できる貨幣として広く流通する可能性を秘めています。

従来はメガバンクや都市銀行、ゆうちょや金融公庫が中心になって金融市場を動かしてきました。2000年代にはファンドやリート、証券会社、ノンバンク、クラウドファンディングが金融ビジネスに登場し、今も群雄割拠は続いています。さまざまな業態が参加するところへ仮想通貨を活用したファイナンスシステムが構築されるので、どこも対応する技術の研究に躍起になっています。最も重要視されるのはセキュリティの仕組みです。個人情報やお金に関わる情報をどのように高速・安全にやり取りするか、この技術の確立が今後の金融ビジネス、ひいては私たちの生活の仕組みにまで影響すると考えられるのです。

金融の場で生まれた「ブロックチェーン」が持つ可能性

現在、どの金融機関でも重点的に研究が進められているのは「ブロックチェーン」です。日本語では「分散型台帳技術」「分散型ネットワーク」ともいわれ、分散台帳を実現させて仮想通貨を支える技術として注目されています。

これまでの情報システムの多くは中枢に巨大な情報ストレージを持ち、端末は中枢と通信して情報を共有していました。セキュリティは「中枢からいかに情報を漏らさず管理できるか」という視点で開発されます。しかし近年のシステムは、それぞれの端末が対等の者(Peer)同士として、つまりP2P(Peer to Peer)で情報を持ち合う形に変わりつつあります。情報を持つサーバが固定されるわけではないので、セキュリティは「守るだけでなく、いかに安全につなげるか」がポイントです。それを実現するのが「ブロックチェーン」と関連する技術なのです。

  • 従来の管理システム
  • ブロックチェーンの管理システム

P2P型システムは、ブロックという台帳情報を全体で共有する前提で成り立っています。「ブロックチェーン」上では、情報を安全に共有するために10分ごとなどの短いスパンで暗号が生成されます。その暗号を共有した端末だけがアクセスを許され、改ざんすると機能しなくなります。インターネットバンキングなどのアクセスで使われるようになった、一定時間ごとに自動的に番号が切り替わる「ワンタイムパスワード」ならご存じの方も多いのではないでしょうか。

大手の金融機関はもちろん、実は金融関連以外の企業でも「ブロックチェーン」の技術研究に注力しています。なぜなら「ブロックチェーン」は金融以外のビッグデータ共有の体系構築でも非常に大きな役割を果たすからです。

取材・文/丘村奈央子、撮影/末安善之