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クールジャパンの国づくり〈後編〉

「面」の観光が地方創生のカギ

「点としての観光地がすばらしくても、車窓の景色が殺風景だったらがっかりしますよね」

増加の一途をたどる外国人観光客の姿が、連日盛んに報道されている。インバウンド(訪日外国人)の経済効果には企業のみならず各自治体も大いに期待を寄せ、停滞する地域経済の打開を狙っている。観光を一過性のブームで終わらせず地方創生への礎とするには、国土の姿はどのように変わらねばならないのか。ホテル等のCM(コンストラクション・マネジメント)業務を通じて「クールジャパンの国づくり」を目指す、山下PMCの川原に聞く。

観光は点から線へ、線から面へ

−− 前編に引き続き、観光を一過性のブームで終わらせず、地域経済の確かな原動力とするためのポイントをもう少し探っていきたいと思います。

先ほどインバウンドという外需を活用して内需を拡大する必要があると言いましたが、それには観光を「点から線へ、線から面へ」と展開することが鍵を握ると思っています。

大都市は観光客を集める「点」で、これをゆるやかに結ぶと「線」になります。今のところ、日本観光の「線」はゴールデンルートと呼ばれるいくつかの経路に限られています。東京−箱根−京都−大阪のルートや北海道周遊ルートなどです。でも日本にはせっかく至るところに魅力的な伝統や食文化があるのですから、この線をもっと増やし、日本中を観光のネットワークで覆いたいところです。

−− 問題は「面」です。

さらに観光を地方創生に結びつけるには、「線」が「面」となることが肝心です。面を育むには自治体の力だけでも民間の力だけでも足りません。観光のために交通や宿泊施設の整備をするのであれば、官民問わず地域を挙げて知恵を出すべきです。繰り返しになりますが、高度成長期に建設された施設が更新の時期を迎える今こそ、50年後に向けての方針を立てなければなりません。どんなストックを次の世代に残し、何に投資をするべきか、地域のビジョンを都市計画や、PRE(公共不動産)戦略・CRE(企業不動産)戦略に反映させることが大事です。

たとえば将来の人口減をふまえ、人の住む区域を縮小してコンパクト・シティとし、それ以外の区域は美しい田園風景を保全するという施策ができれば、次世代の豊かな景観を育むチャンスになるでしょう。

日本の田園風景

国土全体の景観をレベルアップすべき

−− 観光資源として景観に投資することも重要な施策になりそうです。

本当に観光立国を目指すなら、国土の景観が美しくなければいけないでしょう。点としての観光地がすばらしくても、車窓の景色が殺風景だったらがっかりしますよね。移動中に目に入る町並みや海岸線も整備するべきだと思います。鉄塔や護岸などのインフラ施設も風景に馴染むようなものにして、「面」をレベルアップさせるのです。私はサーフィンが趣味ということもあって、海岸線の景観は考えなければいけないと常々思っています。消波ブロックの色を変えるだけでもずいぶん印象が変わるのではないでしょうか。

いずれは国土総合景観とでも呼べるような考え方が現れるかもしれません。護岸にも、防災という観点に加えて美観という観点が求められていくだろうと思います。公共施設やインフラの整備・維持は一つの市町村の力だけでは難しい部分もあるので、近隣の自治体同士が連携してより大きな戦略を立てることも必要かもしれません。

建物オーナーの立場でホテル事業を支援します

−− 山下PMCの提供するホテル分野のCM(コンストラクション・マネジメント)業務の強みは何でしょうか。

一つは、当社は建築・不動産の専門家で構成されていますので、経営面だけではなく建築の面からのマネジメントが提供でき、建物を実際に完成させるお手伝いができること。もう一つは、土地・建物のオーナー側の立場に立ったCM業務を提供できる、日本ではまだ数少ない会社であるということです。

現代のホテル事業においては、所有・経営・運営を別々の会社が担う事業方式が一般的になってきました。実際、いま外資系ホテルチェーンが日本の都市部で展開しているホテルのほとんどは、マネジメント・コントラクト方式(MC方式)またはフランチャイズ・プラス・リース方式です。そのような状況の中、ホテル運営者を対象にしたコンサルティングサービスを提供する会社はあっても、オーナー側のコンサルタントは多くありません。

山下PMCはホテル・旅館の専門部署を持ち、所有・経営・運営いずれのお客さまにもCM業務を提供していますので、オーナーの立場のお客さまにもお力になることができます。「所有するオフィスビルの上層階にラグジュアリーホテルを誘致したい」という場合などには、当社の豊富な実績がお役に立てることと思います。

−− 今後の目標を聞かせて下さい。

私たちの関わる仕事はまだ点ですが、これを線や面にするような計画にも参画していけることを目指しています。最終的には、日本を真の意味での文化発信国にしたいという思いがあります。日本はまだ技術や工業製品の国と思われがちですが、本当は長い歴史と豊かな文化の国だということを世界に伝える活動に貢献したいと思っています。

次回9月中旬『次号前編』更新予定