週刊 施設参謀 週刊 施設参謀

経営課題を解決するファシリティ・
CRE戦略マガジン

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技術先進立国の堅持に向けて〈後編〉

製造業のためのCREお悩み相談

「建物の形は後から考えればよいのです。お客さまがまず考えるべきことは、事業の必要性や方向性、そして事業戦略です」

主力製品を次世代モデルに切り替えたい。では施設は?

−− 前編では、いま製造業で起きているCRE(企業不動産)戦略見直しの動きについて伺いました。実際に製造業の会社ではCREに関してどういった要望や悩みを持っているのでしょうか。

私たちのところに相談にお見えになる製造業のお客さまには、たとえば、会社を支えている現在のコア事業をさらに強固にしたい、あるいはコア事業の製品を次世代製品に切り替えたい、そしてそれに合うように施設体系を変えたい、という方がいらっしゃいます。

もちろん製品はお客さまの会社が考えるべきものです。けれども大まかな製品像ができたら、私たちは施設参謀として製品の研究開発・生産・販売の流れを一緒に考え、事業戦略に起こし、さらに施設戦略に落としこんで、実現するまでのお手伝いをしています。

これまでお客さまからいただいた感想をプロジェクトストーリーとして当サイトにまとめています。お客さまがどんな課題を抱え、私たちがどのような提案を行ったかが具体的におわかりいただけると思いますので、ぜひご一読ください。

−− 施設や建物に関するプロジェクトは、専門家に相談に行くにも知識がないと難しいのではないかという印象があります。

施設を計画するとなるとどうしても、「床面積○○㎡ぐらいで、こういう機能の部屋がいくつある建物」というふうに、形を決めなければならないと思ってしまうお客さまが多いようです。でも本当は、建物の形は後から考えればよいのです。お客さまがまず考えるべきことは、事業の必要性や方向性、そして事業戦略です。

それからようやく、「どうしたらこの敷地の中で機能の最大化が図れるか」とか「既存の施設から新設に移行するときのローリング計画をどうするべきか」といった施設戦略に移ります。解決すべき要素が多すぎて施設にどう盛り込めばよいのかわからない、とおっしゃるお客さまは多いのですが、この一連の流れを紐解いて再構築し、完成までのシナリオを書き、実行するのが私たちの仕事なのです。

建て替えか、増築か、移転か。選択肢が多い施設更新

−− 老朽化した施設の建て替えを迫られている企業も多そうです。

もちろん施設に老朽化が迫っている、あるいは生産設備や実験機器が寿命を迎える際に同時に建物も更新せざるを得ない、というお客さまもいらっしゃいます。

施設の更新には建て替えだけではなく、「既存施設利用+小増築」や「既存施設利用+大増築」などいろいろなやり方があって、それぞれにメリット・デメリットがあります。たとえば今ある工場を壊して同じ場所に建て替えるとなると、稼働できない期間は債務超過に陥ってしまう事態にもなり得ますから、休止期間を設けないよう別の場所に新築して移転するほうが経営上は得策ということもあります。私たちはそういった一連の事業サイクルを考慮しながら、いくつかの更新方法を検証し提案しています。ですから最近は建物一棟だけというより、所有する複数の不動産を多角的・全体的に検討するような相談が増えてきました。

−− 施設を「建設」する段階よりももっと手前の段階で相談に行ってもいいのですね。

これまで建築や施設に関する相談といえば、ゼネコンや設計事務所を思い浮かべることが多かったと思います。でもこのごろは利害関係のない、中立の相談者が求められるようになってきました。私たちは設計も施工もしないマネジメントの専業会社なので、事業主に近い立場から、利益相反のないソリューションプロバイドが可能です。試していただければ、ご満足していただけることと思います。

国際的な不動産見本市「MIPIM JAPAN」に参加しました

−− 最近の山下PMCのニュースを教えてください。

5月20・21日と東京で開催されたMIPIM JAPAN(ミピム ジャパン)に、山下設計と山下ピー・エム・コンサルタンツが出展しました。

MIPIMというのは毎年フランスのカンヌで開かれている国際的な不動産の見本市です。多くの投資家、自治体、企業などが集まって、地域開発や不動産投資に関する商談や情報交換をする場として知られています。今年はMIPIM JAPANとして初めて日本で開催されました。

MIPIMは1990年より毎年フランスのカンヌでリードミデム社により開催されている国際的な不動産見本市。国土交通省等の後援により日本で初開催されたMIPIMは1990年より毎年フランスのカンヌでリードミデム社により開催されている国際的な不動産見本市。国土交通省等の後援により日本で初開催された

山下設計と山下PMCのブースでは映像による会社紹介のほか、初夏の風景をイメージさせるドリンクとお菓子を用意山下設計と山下PMCのブースでは映像による会社紹介のほか、初夏の風景をイメージさせるドリンクとお菓子を用意

ブース展示には国内外の56の自治体、デベロッパー、鉄道会社、投資会社、建設会社、設計事務所などが出展。また「オリンピック」「未来型都市」「対内・対外投資」「ツーリズム」をテーマとした20以上のパネルディスカッションや講演が2日間にわたって開催されたブース展示には国内外の56の自治体、デベロッパー、鉄道会社、投資会社、建設会社、設計事務所などが出展。また「オリンピック」「未来型都市」「対内・対外投資」「ツーリズム」をテーマとした20以上のパネルディスカッションや講演が2日間にわたって開催された

ディベロッパー、バンク、ファンド、ゼネコン、設計事務所、自治体などさまざまな出展者の中で、山下グループだけが設計とマネジメントを統合して打ち出しました。私たちは専業であるマネジメントを一層深化させ、この場に出展または来場した各プレーヤーと相互に連携が築けるパートナーでありたいという思いを改めて持ちました。そもそも建築・建設分野でのマネジメントの専業会社はまだまだ少ない存在です。建築技術者中心の集団であっても、お客さまの事業創造段階から参画するアプローチが可能であることを示したいと思います。

−− 不動産の見本市というのはあまり類のない催しではないでしょうか。

海外からの来場者も多く、国内の建設・不動産関係者に自覚を促す機会になったと思います。日本ではこの種の展示会はこれまでほとんど開かれてきませんでした。東京モーターショーのような、業界を挙げた見本市やフォーラムがなかったのです。MIPIM JAPANはそこに一石を投じたと思います。日本でも企業や自治体が協力し合って建設・不動産分野の情報発信を行うイベントが必要だという意識が生まれたのではないでしょうか。

次回7月下旬『次号前編』更新予定