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2015年度を占う〈後編〉

オリンピック、観光、国土強靭化、PRE・CRE、医療介護

「山下PMCの役割は、投資に最適なソリューションを与えて、お客さまが他の企業と差別化できる施設を提供すること」

オリンピック、観光立国、国土強靭化、PRE・CRE、医療・介護

−− 今回のテーマは「2015年を占う」ですが、先程からもう少し中・長期的な視点でのお話が出ていますので、この先5年〜10年の展望を少し聞かせていただけますか。

現政府の成長戦略として、日銀による量的緩和および積極的な財政支出が実施され、さらに2015年度には法人税減税が予定されています。さらに2014年から今年にかけて、日本版スチュワードシップ・コード(投資家の行動指針)とコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が整備されました。これらは企業の内部留保を投資に回させようとする動きです。

その投資はいったいどこに向かうのか。設備投資としてまず直近で考えられるのが、オリンピック関連施設です。それから、インバウンド需要や観光立国化のための設備投資。その次に、経済特区、ナショナル・レジリエンス(国土強靭化)や、PRE(公共不動産)戦略・CRE(企業不動産)戦略、つまり次の償却に向けての投資が来ます。先端技術への投資の動きも出るかもしれません。その後で、医療・介護ビジネスや、少子高齢化に向かうための次世代産業モデルへと拡がるだろうと私は考えています。

−− 山下PMCはそんな中でどんな役割を担うことになるのでしょうか。

私たちの会社は、そうやって出された投資意欲に最適なソリューションを投入して、お客さまが他の企業と差別化できるような施設づくりを提供することをめざしています。同時に、お客さまの事業創造と施設戦略立案のお手伝いをすることで、投資の火付け役も担いたいと考えています。

CSR(Corporate Social Responsibility : 企業の社会的責任)に対して、マイケル・ポーター氏が提唱したCSV(Creating Shared Value : 共通価値の創造)という概念があります。社会的課題の解決と、企業の利益追求とを両立する世界をめざそうとする考え方です。企業が生き残る上で、これからますます重視される発想ではないでしょうか。お客さまの会社が事業にも社会にも意義のある活動、すなわち共通価値をつくることに貢献するというのが、山下PMCの明日の役割だと思っています。

2015年度は政府の成長戦略が経済を刺激して、もう少し投資熱が高まるのではないかと想像しています。でもそれはあくまできっかけに過ぎません。肝心なのは、出された投資がどんな事業として芽吹くかということです。私たちは未来に向けて根を張るような芽を、大切に育てていきたいと思っています。

ジャンルを横断する9000枚

−− ところで川原社長は無類の音楽好きとうかがっています。2014年末、ダイヤモンド・オンラインに「年末年始に聴きたい
60・70年代洋楽の名盤10選」を寄稿していました。レコード・CDのコレクションは9000枚を数えるとか。

音楽に関しては、病気ですね(笑)。ここ(iPod classic)には2万曲満タンに入っています。

−− その2万曲はどんなジャンルの音楽なのですか。

音楽の嗜好は完全にノンジャンルで、クラシックと歌謡曲とレゲエ以外はほとんど全部聴きます。ポップスに始まり、ソウル、ジャズ、レアグルーヴ、ファンク、ロック、ラウンジ、モンド、オールディーズ、サントラ、ラテン、ボサノヴァなどなどです。昔からジャンル関係なく、有名無名も関係なく、自分の中でいいと思うものを選んで聴いていました。不思議とそのころいいと思った曲は、当時は誰も知らなかったようなアーティストであっても、今でもちゃんと生き残っていますね。山下達郎も大滝詠一もあんなに売れっ子になるとは思っていませんでした。私、1973年8月23日に長崎のNBCホールであったシュガー・ベイブのファーストコンサートに行ったんですよ。理由はわからないですが、音楽にせよ仕事にせよ、基本的にあまり判断が外れていないかもしれません。

−− シュガー・ベイブのファーストコンサートとは……! そうやってたくさんの音楽を選択してきたことが今の仕事にも役立っているのでしょうか。

ジャンルを横断する聴き方は今の仕事とつながっているような気がします。昔はそういう聴き方をする音楽ファンが少なくて、ソウル好き、ジャズ好き、ロック好きなどが島のように固まっていました。でも大学時代、ディスコのDJをしていたこともあって、よく人に頼まれてオリジナルテープをつくってあげていました。いろいろなジャンルの曲を90分テープにてんこ盛りにして、間をリズムでつないでね。これは評判がよくて、こういう聴き方もいいものだね、と言ってもらえるようになりました。

村上春樹さんの思い出と新国立競技場

−− 今も音楽サークルを主催していると聞いています。

2009年ごろから音楽を紹介するメールマガジンを配信したり、SNSやお互いのブログで情報交換をしたりする音楽愛好会を主催しています。最初は知人同士で始めたものが口コミで広がって、老若男女問わず40人ほどになりました。メールマガジンには、「朝聴くならこれ」とか「昼間のドライブに聴く曲」というふうに、いろいろなTPOのための選曲をして、プレイリストと曲の解説を書いています。

−− 音楽にまつわる思い出を聞かせてください。

大学1〜2年のころ、千駄ヶ谷にあった村上春樹さんの「ピーター・キャット」というジャズ喫茶によく通っていました。タバコの煙が充満しているような当時のジャズ喫茶とは全然違った、明るい雰囲気のお店でした。パシフィック・ジャズ・レコードという西海岸のレーベルがよくかかっていて、西と北から室内に落ちる陽ざしに似合っていましたね。村上さんとは音楽の嗜好がぴったり合っていて、「こういう人と会うのは君で2〜3人目だよ」って言われましたよ。いい思い出として心に残っています。

私が通い始めて1年ぐらい経った頃、村上さんはお店を閉めて小説に専念されることになりました。それを聞いて初めて小説家だったことを知ったのです。それから2年ほどして出版されたのが「羊をめぐる冒険」でした。それまでレコードにしかお金を使っていなかった私でしたが、このことがきっかけで小説を読むようになり、活字中毒になるまでになりました。今、山下PMCは新国立競技場の発注者支援業務を担当しています。国立競技場に足を運ぶたび、ピーター・キャットはこの近くだったな、と思い出して懐かしくなりますね。

次回5月上旬『次号前編』更新予定