経営課題を解決するファシリティ・CRE戦略マガジン

週刊 施設参謀

一級建築士、コンストラクション・マネジャーの資格をもつ
施設建築・運営管理の専門家がみなさんの疑問に答えます。

ブルー・オーシャンを探して ブルー・オーシャンを探して ブルー・オーシャンを探して

27

ポスト五輪、2025年の先へ
政府発表「ラグジュアリーホテル50カ所」が正しい理由

五輪後の悲観論。悪い空気に飲み込まれない

成長の後には必ず衰退が訪れる。東京2020オリンピック・パラリンピック後の日本経済について、メディアでは悲観的な論調が目立ちます。メディアが作り出した「空気」によって、本当は余裕があるのに、投資熱・消費熱が下がり、必然的に経済の回転速度が減退する、という考え方がこれまでの主流でした。
しかし、私は五輪後こそ、現実をしっかり見据えて、悲観論から脱却することが重要だと考えています。そこで今回は、人口、インフラ、日本の稼ぐ力などの観点でポスト五輪の可能性について述べます。

東京五輪

土建国家だからこそ少ない地方格差

日本の人口減少問題については論を俟たないのですが、より注視すべきは、人口よりも「生産年齢人口」の減少です。2025年以降は、すべての団塊の世代が後期高齢者となるため、アクティブシニアが活躍する社会を考える必要があります。

また、地域間格差がさらに広がるのは確実です。人口増を望めるのは東京・大阪・福岡などの大都市圏のみで、中山間地域・里山地域では経済を成り立たせる最低限の人口をさらに下回っていきます。
都会でも高度経済成長時代に造った建築物を入れ替える時期を迎え、橋・トンネル・道路・上下水道・電気・ガス・通信などの主幹インフラの再構築が必要です。

これらの現象は、社会を大きく変えられるチャンスだと私は捉えています。5G技術やMaaS、電気やガスの自由化はそれを後押しする要素でもあります。

政府もその潮流を作り出そうとしています。富のトリクルダウンがうまくいかないこれまでの仕組みから変え、ある程度分割した予算で、地方に大々的に投入していく方針へと転換し始めています。昭和後期ほどではないにしろ、土建を活用する産業や経済が再び戻ってくるのではないでしょうか。
日本は海外から土建国家と揶揄されつつも、その恩恵で国内の地域差が他国に比べて低い方です。道州制と不可分ではありますが、土建国家にも少なからずメリットがあり、今改めて見直すべき有効な手段の一つです。

所得収支とインバウンドに次ぐ柱は「隠れたガリバー」の発掘

現在の日本は、基本的には大きく二つの柱で稼いでいます。一つは所得収支です。製造業をはじめ世界にある工場や生産販売拠点を持つ企業からの配当が日本経済を維持しています。輸出入を軸にした「貿易立国」の時代はすでに終わりました。今後は所得収支で稼いでいる企業の本社海外流出を防ぎ、次の時代も乗り切れるように第4次産業革命の中心となるデジタル融合を加速させるべきです。

もう一つの柱はインバウンドです。すでにティッピング・ポイントを超えており、一人あたり20万円以上を落としてくれる観光客が4,000万人近く来ると考えると魅力的な財源です。これは、日本で成功した数少ない政策の一つであり、今後は、地方にさらに収益をもたらす産業となり得るでしょう。

日本の稼ぐ力

日本にはさらに潜在能力があります。3つ目の柱となるのは「日本にいる隠れたガリバーの発掘と活用」です。例えば、日本が独占的に製造販売しているフッ化水素・ポリイミド・レジストなどは、最近になってようやく知られるようになりました。

こういった「知られていない実力」は各産業に潜んでいます。政府投資にしても民間投資にしても、ネガティブな空気に惑わされずにきちんと事業に回るよう、メディアもメリットやプラスについて積極的に報じていく。2025年までの日本の社会経済ではハードとソフトの両方の転換が重要で、日本が健全な先進国を維持できるかどうかはこの5、6年で決まります。

先日の「全国に50軒のラグジュアリーホテルを建設する」という政府の発表は、海外投資を引き込むための施策です。日本にはビジネスを生み出す実力が備わっているのにうまくアピールできていないため、政府が世界へ向けて大々的に打ち上げたのです。しかし残念ながら、施策への批判ばかりが報じられ、真実はなかなかニュースになりません。

GDPにカウントされないビジネス

日本経済の実力を見直すには、GDPの算出方法も再考の余地があります。なぜならアイドリングエコノミーやシェアリングエコノミーなどの収支は正確に把握する指標がなく、明らかな興隆があるにもかかわらず数値に表れてこないからです。
※2020年度からは、シェアリングエコノミーをGDPに含む方針が内閣府から発表されている。

「シェアリングエコノミーは他人事ではない日本に ビジネスチャンスがある3つの理由」はこちら

世界中のプラットフォームを牛耳っているGAFAは、自分たちが作った国境のない世界に国境を無理やり作って収支をカウントしています。ならば、このボーダレスな世界の中でどのように日本が司っていくのか?それをもっと真剣に考えるべき段階です。

私たちの国には潜在的な力が十分備わっています。実際、お客さまとお話しているとき、「日本は得意分野だらけだ」と驚嘆することも多々あります。

そして、まだ見えていないニュービジネスが勢いある気泡のように社会の中でどんどん生まれています。個人やスタートアップ企業だけでなく巨大な企業にも存在します。つまり、ポジティブな動きが現実に日本で起きているのです。このような功も罪も取り混ぜたポスト五輪の中で、この5年をどう生きるかが今後の私たちに突きつけられた課題です。

次のマイルストーンは2025年

何事も必ず「良い面」と「悪い面」が内在し、両方とも避けては通れません。五輪後に残されるのは決して悲観だけではなく、チャレンジすればブレイクスルーできる世界です。ティッピング・ポイントを超えたら戻ることがない盤石な世界もどんどん構築できます。実際にインバウンドではそれが実現され、安定した産業になりました。

「日本は各産業がティッピング・ポイント前夜 経済停滞の悲観的なニュースに惑わされるな」はこちら

私たちは今回のオリンピック・パラリンピックを経済における一つのステップにすべきです。前回の大会は最初の体験でカウンターパンチを受けたかもしれません。しかし1964年で学習した私たちはデメリットを予測して防ぎ、メリットを選んで伸ばす力がついているはずです。

少子高齢化が本格化する5年後まで何を行い、どう乗り切るかで、日本の未来は大きく変化するのです。山下PMCもいろんな分野で支援しています。

【ご案内】
山下PMCは、2020年2月5(水)~7日(金)、幕張メッセで開催される「第3回 地方創生EXPO」に出展。同展示会、7日(金)の出展社プレゼンテーションでは、代表 川原の講演を予定しています。ぜひ、ご聴講ください。

「2025年の先へ。小売りだけではない!オムニ・チャネルで拡げる地方創生」
https://www.ypmc.co.jp/info/10731/

・記載されている内容は、掲載当時の情報です。予告なく変更する場合もございますので、あらかじめご了承ください。
・記載されている会社名、商品名は、各社の商標、または登録商標です。なお、本文中では™、®マークは基本的に明記していません。