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週刊 施設参謀

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奪い合いから、共創・シェアする社会へ
~SDGs時代のオムニ・チャネル戦略~

オムニ・チャネルの「つなぎ役」

以前のコラムでも、「建設業界におけるオムニ・チャネルの応用と可能性」について言及しましたが、今回は、私たち山下PMCが考えるオムニ・チャネル戦略について、実践例をあげながら、より具体的にお伝えします。

「建設業界のカスタマージャーニーを刷新せよ! オムニチャネルで実現する“ひとりでに売れる仕組み”」はこちら

これまでは、産業・サービス・技術などの組み合わせによって、新ビジネスが生み出される可能性があったとしても、自然発生的なタイミングを待つか、経営コンサルタントのようなネットワークをもつ特定の誰かに(手数料を払って)、紹介をお願いしなければ、出会うことができませんでした。

でも、時代は変わり、これからは社会の課題をビジネスの力で解決するCSV経営、そして、分野を越境し共創するSDGsの実践が企業に求められます。そこで、私たちは、近視眼的な利益に拘泥せず、「欲しいもの」と「欲しいものを与えたい人」とのつなぎ役となることを決め、クライアント・リレーション、ひいてはその先のカスタマー・リレーションを創造することをすでに始めています。

顧客の争奪戦、終息へ

私は、SDGs時代に必要なオムニ・チャネルのエンジンは、実は「人」だと考えています。加速度的にアイデアを生み出し・吸い上げ、サービスや商品に実装するためには、事業者・顧客・経営視点を持ち、自由自在に視点を移動させる力、融合する力が必要です。そして、積極的につなぎ役を買って出て、出会いを創出する情熱も大切です。

このような「人」にしかできない質の高いつながりが広がれば、クライアントや顧客同士の「争奪戦」は終わるのではないでしょうか。なぜならば、「欲しいもの」と「欲しいものを与えたい人」との高精度のマッチングが可能になり、わざわざ獲りに出向く必要がなくなるからです。過度な競い合い・奪い合いに体力を消耗するのはもう終わりにしましょう。人と人との出会いやアイデアの融合によって創発を刺激する仕組みこそ、これからの時代のオムニ・チャネルであると考えます。

YPMCオムニ・チャネル実践例

では、実際に山下PMCがオムニ・チャネルを使って、顧客・社会の課題解決につなげた例はいくつもありますが、今回はその中から3つを紹介します。

その1:ボールパーク構想
その2:魅せる検査施設
その3:商業ビルからホテルへ

その1:ボールパーク構想

本コラムでも何度か取り上げている「北海道ボールパーク」に代表されるボールパーク構想は、スポーツ施設・試合観戦の枠を超えて、産業・人を巻き込み、新しい賑わい・収益を生み出すモデルケースです。


北海道日本ハムファイターズ新球場「北海道ボールパーク」完成イメージ
©Hokkaido Ballpark Corporation All Rights Reserved.

「20年アメリカで伸びているスポーツビジネス。なぜ日本では伸びないのか?~スポーツGDP15兆円の可能性を考える~」はこちら

その2:魅せる検査施設

「新しい価値で人を集めて収益を得るモデル」はスポーツ業界に限りません。どんな業界でも「独自コアコンピタンス」があれば新しいビジネスが可能です。

ある医療検査施設では、経営者の発案から常識を超えたアプローチが生まれました。単に検査をするだけではなく研究開発用のR&D施設を建て、さらに医療分野の顧客をゲストハウスに招いて見学や研修ができるように設定したのです。国際コンベンションも開催できるよう、立地は吟味して交通の結節点を選びました。高い技術力を持った医療検査施設は他にもありますが、新しい顧客ニーズに応える設計は独特です。この施設では今後一般の人たちへもアピールする計画を立てています。

その3:商業ビルからホテルへ

すでに成熟していると思われがちなホテル業界でも新しい切り口があります。私たちが手がけて2018年にオープンしたホテル「ハイアットセントリック銀座東京」は、まだインバウンドという言葉が浸透していない2013年から海外富裕層を見据えたプロジェクトを組んで成功しました。

当初は一般的な商業ビルとして低層階にテナント、高層階にオフィスを入居させる計画でしたが「今後はインバウンドが増えてホテル用途の需要が増える」と見込み、長期宿泊客が楽しめるライフスタイルホテルを提案しました。当時は戸惑いもありましたが、強い意志をもった取りまとめ役の方々に関係者を説得いただいて建設に至り、7年後の今はその見立てが実績をあげています。前例と既存概念の垣根を越えた提案が功を奏しました。


「ハイアットセントリック銀座東京」Photo:Nacasa & Partners

【お客さまの声】ハイアットセントリック銀座東京「商業ビルの計画を、ライフスタイルホテルへ」はこちら

既成概念を壊したビジネスモデルはここ数年で活発になり、アイデアを持った人はより増えているのではないでしょうか。突飛だと思われる発想こそ創造につながります。私たちもその具現化を積極的に進めていきます。ぜひご相談ください。

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