奪い合いから、共創・シェアする社会へ~SDGs時代のオムニ・チャネル戦略~

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奪い合いから、共創・シェアする社会へ
~SDGs時代のオムニ・チャネル戦略~

オムニ・チャネルの「つなぎ役」

以前のコラムでも、「建設業界におけるオムニ・チャネルの応用と可能性」について言及しましたが、今回は、私たち山下PMCが考えるオムニ・チャネル戦略について、実践例をあげながら、より具体的にお伝えします。

「建設業界のカスタマージャーニーを刷新せよ! オムニチャネルで実現する“ひとりでに売れる仕組み”」はこちら

これまでは、産業・サービス・技術などの組み合わせによって、新ビジネスが生み出される可能性があったとしても、自然発生的なタイミングを待つか、経営コンサルタントのようなネットワークをもつ特定の誰かに(手数料を払って)、紹介をお願いしなければ、出会うことができませんでした。

でも、時代は変わり、これからは社会の課題をビジネスの力で解決するCSV経営、そして、分野を越境し共創するSDGsの実践が企業に求められます。そこで、私たちは、近視眼的な利益に拘泥せず、「欲しいもの」と「欲しいものを与えたい人」とのつなぎ役となることを決め、クライアント・リレーション、ひいてはその先のカスタマー・リレーションを創造することをすでに始めています。

顧客の争奪戦、終息へ

私は、SDGs時代に必要なオムニ・チャネルのエンジンは、実は「人」だと考えています。加速度的にアイデアを生み出し・吸い上げ、サービスや商品に実装するためには、事業者・顧客・経営視点を持ち、自由自在に視点を移動させる力、融合する力が必要です。そして、積極的につなぎ役を買って出て、出会いを創出する情熱も大切です。

このような「人」にしかできない質の高いつながりが広がれば、クライアントや顧客同士の「争奪戦」は終わるのではないでしょうか。なぜならば、「欲しいもの」と「欲しいものを与えたい人」との高精度のマッチングが可能になり、わざわざ獲りに出向く必要がなくなるからです。過度な競い合い・奪い合いに体力を消耗するのはもう終わりにしましょう。人と人との出会いやアイデアの融合によって創発を刺激する仕組みこそ、これからの時代のオムニ・チャネルであると考えます。

YPMCオムニ・チャネル実践例

では、実際に山下PMCがオムニ・チャネルを使って、顧客・社会の課題解決につなげた例はいくつもありますが、今回はその中から3つを紹介します。

その1:ボールパーク構想
その2:魅せる検査施設
その3:商業ビルからホテルへ

その1:ボールパーク構想

本コラムでも何度か取り上げている「北海道ボールパーク」に代表されるボールパーク構想は、スポーツ施設・試合観戦の枠を超えて、産業・人を巻き込み、新しい賑わい・収益を生み出すモデルケースです。


北海道日本ハムファイターズ新球場「北海道ボールパーク」完成イメージ
©Hokkaido Ballpark Corporation All Rights Reserved.

「20年アメリカで伸びているスポーツビジネス。なぜ日本では伸びないのか?~スポーツGDP15兆円の可能性を考える~」はこちら

その2:魅せる検査施設

「新しい価値で人を集めて収益を得るモデル」はスポーツ業界に限りません。どんな業界でも「独自コアコンピタンス」があれば新しいビジネスが可能です。

ある医療検査施設では、経営者の発案から常識を超えたアプローチが生まれました。単に検査をするだけではなく研究開発用のR&D施設を建て、さらに医療分野の顧客をゲストハウスに招いて見学や研修ができるように設定したのです。国際コンベンションも開催できるよう、立地は吟味して交通の結節点を選びました。高い技術力を持った医療検査施設は他にもありますが、新しい顧客ニーズに応える設計は独特です。この施設では今後一般の人たちへもアピールする計画を立てています。

その3:商業ビルからホテルへ

すでに成熟していると思われがちなホテル業界でも新しい切り口があります。私たちが手がけて2018年にオープンしたホテル「ハイアットセントリック銀座東京」は、まだインバウンドという言葉が浸透していない2013年から海外富裕層を見据えたプロジェクトを組んで成功しました。

当初は一般的な商業ビルとして低層階にテナント、高層階にオフィスを入居させる計画でしたが「今後はインバウンドが増えてホテル用途の需要が増える」と見込み、長期宿泊客が楽しめるライフスタイルホテルを提案しました。当時は戸惑いもありましたが、強い意志をもった取りまとめ役の方々に関係者を説得いただいて建設に至り、7年後の今はその見立てが実績をあげています。前例と既存概念の垣根を越えた提案が功を奏しました。


「ハイアットセントリック銀座東京」Photo:Nacasa & Partners

【お客さまの声】ハイアットセントリック銀座東京「商業ビルの計画を、ライフスタイルホテルへ」はこちら

既成概念を壊したビジネスモデルはここ数年で活発になり、アイデアを持った人はより増えているのではないでしょうか。突飛だと思われる発想こそ創造につながります。私たちもその具現化を積極的に進めていきます。ぜひご相談ください。

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建設業界のカスタマージャーニーを刷新せよ! オムニチャネルで実現する“ひとりでに売れる仕組み” 〈後編〉

カスタマージャーニーに注目して「体験」を構築する

あらゆる場面から自社情報にアクセスできる・調べられるというルートを整えるとき、必ず考えなければいけないのは最終的な顧客体験の質です。自社の商品やサービスを採用してくださったクライアントはどんな入口から企業を知り、なぜ決断したのか。どんなところで満足し、何を物足りないと感じたのか。お客さま目線で見た道筋は「カスタマージャーニー」と呼ばれます。

満足度が高かったクライアントの「カスタマージャーニー」を分析すれば共通点があります。どのクライアントも同じポイントを通過できるようにルートを設計すれば、自ずと満足度が高い体験をするクライアントが増えるでしょう。体験の評判が高まれば「あなたの会社に頼みたい」と特命で受注できる案件も増えるはずです。

山下PMCではさらにルートの分析を進めて、クライアントの「知る→調べる→選ぶ→リピーターになる」というプロセスをより少ない工程で実現できる仕組みを構築しようとしています。できるだけコストをかけずに“ひとりでに売れる”を実現し、既存のパイを奪い合う厳しい営業活動から脱却するためです。

こういったオムニチャネル概念の活用は、小規模企業や地方企業など時間や空間にハンデのあるケースのほうが大きな効果を得られると感じます。また、伝統的な価値観や技術を持った業界でも活用が望まれるのではないでしょうか。

たとえば、新潟の青木酒造では、自社製品の情報やビジュアルを揃えて国内外のユーザーが使いやすい販売ルートを構築しました。売上も倍増に近いほど伸ばしています。海外からの旅行者を迎えるインバウンド業界もオムニチャネル化が熟成し、日本を知ったり経験したりするさまざまなサービスの「入口」と「出口」がスムーズにつながっています。今はバラバラに存在する工芸や職人技術の世界も、オムニチャネルを意識する人が増えれば流れが変わるはずです。

建設業界では何ができるか

今後は業界別に発展していたネットワークがさらにつながり、世界そのものがインテグレーテッド化されていくと予想しています。しかし、いざその機会が訪れてもこのままでは建設業界は取り残されてしまいます。旧来の「カスタマージャーニー」を刷新できていないからです。

私たちが古い体質のままでいる間に、クライアントが情報を受け取るルートとツールは大きく変化しました。これからは、さらなる情報通信の高速化(5G対応など)、モバイルの普及、情報のプラットフォーム化・パーソナライズ化、課金システムのサブスプリクション化が進むでしょう。でもこれらが世間の「当たり前」になった頃に慌てて業界システムを整えようと思っても、もう手遅れです。

まず人的リソースに頼る営業活動を見直し、ITツールによる窓口を増やすこと。そこから流入したクライアントが迷わず快適に発注できる手順を整えること。いきなりすべての窓口をシームレスにつなぐオムニチャネルは無理でも、その前段階であるマルチチャネル化、つまり入口を増やす施策ならすぐ実行できると思います。

オムニチャネルの試みは、一社だけが飛び抜けるより多くの企業が参画したほうが効果的です。業界全体で「新しくなった」「便利になった」と印象づけ、クライアントの心理的なハードルを下げることが可能になるからです。またITツールがあれば企業間の情報共有が迅速になり、パイを奪い合う営業ではなく、クライアント目線で最適なサービスを紹介し合うシェアリングの世界が広がるのではないでしょうか。建設業界も早くこの領域に足を踏み入れるべきです。

山下PMCは数年前からオムニチャネル化の成果を得てきました。今後は情報の双方向化を進める予定です。クライアントがこちらへ発注するベクトルだけでなく、山下PMCの存在や価値についても瞬時にクライアントへ伝えるベクトルも整備する。さらなる情報と窓口のシームレス化を展開していきます。

山下PMCは、イノベーティブな輪を広げるためのイベントを定期的に行っています。今回は、「次世代の価値を創造する」をテーマに、スポーツビジネスの最先端で活躍する、小売・教育・プロ野球球団、各分野の方々に登壇いただき、パネルディスカッションを展開しました。

パートナーと創る進化型ボールパーク

日本のスタジアムの歴史を根底から覆すプロジェクト、北海道日本ハムファイターズ新球場の建設を推進中の北海道ボールパーク 福田 要さんに、地域の活性化につながる進化型のボールパークについてお話しいただきました。

新球場は、全面ガラスの外観、開閉式ルーフ(北海道に古くからある切妻屋根を採用し、積雪対策に)、天然芝フィールド等の特徴をもつ。

球団価値の転換

ファイターズは、以前は東京をフランチャイズにし、あくまでも日本ハムの広告塔としての位置づけにありました。2004年、北海道に移転し、ファイターズとしての企業理念『Sports Community』を制定。その頃から、本格的な地域密着型の経営を始め、今回の『北海道ボールパーク』建設につながるスポーツを核にした街づくり、ここに行ってみたい、働きたい、何かしたいという交流人口を増やすことを目指しています。

進化型のボールパーク

私はよく「2023年にすべて完成していますか?」と質問されるのですが、おそらくスタジアム以外は未完成の部分もあるでしょう。私たちは、『北海道ボールパーク』をスポーツをしない人も楽しめる空間にしていきたいと考えてます。キャンプ場、北海道のグルメを楽しめるレストラン、温泉等、徐々に拡充していく進化型のボールパークです。もちろん、外国人旅行客の観光拠点にもなるでしょう。

世界がまだ見ぬボールパークをつくろう。

ボールパーク構想が出た当初、周囲は大反対。まるで、新しいおもちゃを欲しがる子どものように言われました。しかし、みんなで手分けして、目的やコンセプトをいろんなシーンでお伝えし、理解を広めていきました。

『北海道ボールパーク』のイメージ動画が世界で30万回も再生されていることからも、今の盛り上がりがわかります。動画のメッセージにもある「共同創造空間」とは、同じ志を持つパートナーと一緒になって築いていく球場、スポーツ観戦の形、次世代の街。私たちは、少子高齢化が進む状況下で、人を集める、活性化させるために、自分たちに何ができるのか、悩みながらやっています。

独創的なビジネスモデル

(司会・モデレーター)
フリーアナウンサー 山田 幸美さん

皆さまの独創的なビジネスモデルにわくわくしました。そして、それぞれ、地域との共生を大切にしていることを感じました。今回のセッションを通じて、本イベントのテーマである「次世代の価値を創造する」中でぶちあたる壁を、皆さまがどう乗り越えてきたのか、貴重なエピソードを教えていただくことができました。ありがとうございました。

戦略的で実行力あふれる取り組み事例「これからのスポーツビジネス」

福田 要さん

株株式会社北海道ボールパーク代表取締役社長
福田 要さん

山下PMCは、イノベーティブな輪を広げるためのイベントを定期的に行っています。今回は、「次世代の価値を創造する」をテーマに、スポーツビジネスの最先端で活躍する、小売・教育・プロ野球球団、各分野の方々に登壇いただき、パネルディスカッションを展開しました。

認可外保育施設だからできること

通常の保育園・幼稚園ではできない多様な体験を提供している「バディスポーツ幼児園」を運営するバディ企画研究所 鈴木 威さんに、人材育成の環境改善とそこから生まれた人材育成の良い循環が生まれたお話をしていただきました。

お金のかからない仕組み

『バディスポーツ幼児園』は認可外保育施設。なぜかというと、柔軟な考え方で施設を有効活用できるからです。昼間は幼児園、午後は幼児・小学生・中学生のクラブ活動、夜は大人の遊び場として開放。一つの施設を様々な用途で使用しているのです。

現在、幼児園は、首都圏8ヵ所にあります。また、最近では、有明にアリーナを新設。でも私は、これらを造るのにほとんど費用をかけていません。たとえば、園舎の上の空中権はマンション業者に販売する、屋上はフットサルやドラマの撮影場として貸し出す、アリーナはカフェや駐車場としてテナント貸しすることで、資金運用ができています。

人材育成による良い循環

いまでこそキャンセル待ち多数となる幼児園となりましたが、認知してもらうまでは大変でした。でも、「どこまでもベストをつくせ」、「はげましあえ、そしておもいやれ」、このコンセプトのもと、長年運営を続けてきたことで、サッカー日本代表・武藤嘉紀選手、マラソンの川内優輝選手等、各界で活躍する人が増え、認知されるようになりました。

そして、卒園した子どもたちはバディスポーツクラブに通い、やがて、大人になって指導者として戻ってきたり、自分の子どもをバディスポーツ幼児園に入園させたりする、といったサイクルが生まれています。

三つ子の魂百まで

よく「三つ子の魂百まで」と言いますが、3歳から6歳という、人間形成の大切な時期に教育に携わる幼稚園教諭・保育士の待遇に問題があるのは、日本の将来にかかわることだと感じています。私が37年前に事業を立ち上げた背景には、そのような環境を改善したいという思いがありました。

戦略的で実行力あふれる取り組み事例「これからのスポーツビジネス」

鈴木 威さん

株式会社バディ企画研究所 代表取締役社長
鈴木 威さん

山下PMCは、イノベーティブな輪を広げるためのイベントを定期的に行っています。今回は、「次世代の価値を創造する」をテーマに、スポーツビジネスの最先端で活躍する、小売・教育・プロ野球球団、各分野の方々に登壇いただき、パネルディスカッションを展開しました。

地域との共生、交流人口増大がスポーツビジネス成長の共通キーワード

民間と行政の本格的な連携による多目的アリーナ『FLAT HACHINOHE』の開業予定を発表したクロススポーツマーケティング 中村 考昭さん、入園希望者が後を絶たない大人気スポーツ幼児園を運営するバディ企画研究所 鈴木 威さん、そして、日本のスタジアムの歴史を根底から覆すプロジェクト、北海道日本ハムファイターズ新球場の建設を推進中の北海道ボールパーク 福田 要さん。今回、このような素敵な皆さまによる座組でイベントを開催することができました。

地域スポーツ産業のエンジン化

クロススポーツマーケティング 中村 考昭さんより、地域に根ざしたスポーツの活性化とともに施設の多目的化を進めてきたお話を伺いました。

スポーツの川下から川上へ

ゼビオグループは、スポーツ用品の小売業が本業。我々は、「マラソンをするからシューズを買う」といったように、お客さまのニーズに合わせて商品を販売する、ビジネスでは比較的川下に位置しています。でも、それだけではなく、スポーツビジネスのもっと手前・川上からの取り組みもしていこう、という目的で事業の多角化を進めているのが、クロススポーツマーケティングです。

究極の多目的施設『FLAT HACHINOHE』

2012年、民設共営の多目的スポーツ&エンターテインメントアリーナ『ゼビオアリーナ仙台』を開業。スポーツ施設単体ではなく、複数の商業施設と連携し、地域で共同経営しています。公共ではなく民間が運営することで、徹底的にコストを追求し、稼働率を上げていく、スポーツ産業のエンジン化に向けた実験でした。

2020年春、人口23万人の青森県八戸市に、約5千人収容可能な『FLAT HACHINOHE』が誕生予定。民間と行政の本格的な連携による日本初の地域密着型多目的アリーナとして注目を集めている。

そして、この仙台での学びを活かしながら、民間主導で『FLAT HACHINOHE』を建設中です。民間で施設を造り、それを行政に貸し出すことで、行政負担の大幅な削減につなげようとしています。仙台と大きく異なるのは、24時間365日、常時氷を張ったままにしていることです。氷の上に断熱フロアを敷けば、バスケやバレーボール、コンサートもできます。つまり、我々は、施設の究極の多目的化を図りたいと考えたのです。

足元の需要に目を向ける

日本は地域に根差したスポーツが豊富。八戸は子どもからお年寄りまでスケートが盛んな街です。『FLAT HACHINOHE』は、それを前に出すことで、地元の足元のニーズを高め、全国に広げていこう、という文脈から企画されました。何を造ったらいいのか、ピュアに考えて気づいた結果が『FLAT HACHINOHE』です。

スポーツのシェアリングエコノミー

一方で、箱もの(ハード)からコンテンツ(ソフト)に振り切った例もご紹介します。私たちが運営に携わっている『SPARTAN RACE』という世界最大規模の障害物レースは、スキー場でも、公園でも、河川敷でも、どこでもできます。1回の開催で約5千人の集客が可能で、主催者の収益性、参加者の満足度が高いことも特長です。また、ハードとソフトの投資の折衷案としては、3人制プロバスケットボールリーグ『3×3.EXE PREMIER』があげられます。ここ六本木ヒルズ等、既存のインフラを活用し、コンテンツを投入する仕組みは、スポーツのシェアリングエコノミーのようなものです。

民主導による新しいコンテンツドリブンなスポーツモデル『SPARTAN RACE』。
プロスポーツビジネスの“産業革命化”『3×3.EXE PREMIER』。2019年シーズンは国内外から72チームが参戦。

戦略的で実行力あふれる取り組み事例「これからのスポーツビジネス」

中村 考昭さん

ゼビオホールディングス株式会社 副社長執行役員
クロススポーツマーケティング株式会社 代表取締役社長
中村 考昭さん

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建設業界のカスタマージャーニーを刷新せよ! オムニチャネルで実現する“ひとりでに売れる仕組み” 〈前編〉

マーケティングの正しい定義とは?

建設業界の営業といえば、営業職の社員が地道に企業を訪問して契約につなげるのが未だ主流です。この方法は人的リソースが多く求められ、訪問のための時間的・経済的コストがかかってしまいます。また、多くの人が「マーケティング」の定義を市場調査をもとに「いかに他社からパイを奪うか」としているため、消耗戦に陥っています。

しかし、私は、山下PMCの営業をこういった旧来のスタイルからは脱却させたいと考えました。「マーケティング」の意味を「クライアントが真に求めるモノやサービスが“ひとりでに売れる”仕組み作り」と捉え直し、他社とは違う活動を行おうと思ったのです。

もともと山下PMCは営業専業の社員を置いていません。スタートアップ時に採用したスタイルは技術力とマネジメント力がある幹部がクライアントにプレゼンする方式でしたが、それでは他の社員が新しい仕事を創造するマインドやワクワク感を体験する機会がありませんでした。

また、当社がお付き合いさせていただいたクライアントの方には「こういう会社があって良かった」と満足していただけることが多いのですが、その顧客体験をうまく次のクライアントに理解いただくルートが確立しておらず、これらを打破する新しいアイデアをずっと探していました。

小売業のオムニチャネルは他産業でも応用できる

私がまさに悩んでいた頃、2015年11月に小売業界で総合通販サイト「オムニ7」を発表したのがセブン&アイホールディングスです。「オムニ」とはラテン語由来で「すべて」の意を持つ接頭語です。彼らが構築したのはグループのリアル店舗・ネット店舗・利用客をシームレスにつなぐオムニチャネルという仕組みでした。ネットで注文した品をリアル店舗で受け取れたり、リアル店舗でスマートフォンをかざして決済と配送まで手配できたり、お客さまの利便性からIT技術と物流ルートを見直して小売の「入口」と「出口」の自由度を高めたのです。

この「オムニ7」が知名度を上げたため、オムニチャネルというと小売業のマーケティングだと思われがちです。しかし、本質を見ると他産業やB2Bビジネスでも応用できる要素がたくさん含まれていると気づきました。

たとえばお客さまの入口を増やす戦略としてネットでの接触機会や窓口を作れば、そこから直接受注する道がひらけます。対面だけでなく、お客さまが知りたい情報にアクセスできるタッチポイントを増やせば機会を逃しません。

「オムニ」の意の通り、どこからでもクライアントが関わることが可能になればいいのです。それはちょうど、パチンコ台のチューリップがすべて開いている状態を維持するのに似ています。さまざまな方向から流れてくるパチンコ玉を、さまざまな場所で開いているチューリップがキャッチする。

自社営業、他社紹介、オウンドメディアなどは建設業界でもよくある顧客流入ルートです。ほかにもSNSを用いたバイラルマーケティング、スマートフォンやタブレットなどあらゆる端末でわかりやすく表示・案内を行えるインターフェイス、業界紙や専門誌に絞った広報戦略など、整えられる道を見つけて山下PMCでは積極的に入口を増やしていきました。

“ひとりでに売れる“が実現すると、社員は売上成績に囚われることなくクライアントに向けた仕事だけに集中できます。プロジェクトの質が上がり、その成果がうまくオムニチャネルの中でPRされると、また“ひとりでに”新しいクライアントがアクセスしてくれます。

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建築業界でも、デジタルでは代替できない人財育成を AI・IoT時代の真のリアルとは?〈前編〉

リアルとサイバーの境界線

さまざまな業界でIoTやAI技術が急速に浸透し、生活や仕事の情報のデータ化・可視化が進んでいます。リアル(人的リソース、物理的空間・モノ)とサイバー(デジタル、ネットなど)の世界はシームレス化し、より緊密になろうとしています。しかし、建築業界においては、リアルだけを重視する旧来の制度や慣習から抜け切れず、デジタル化が進んでいるとは言えません。

たとえば、私たちが建築プロジェクトをご支援している製造業では、人が企画・開発するリアルな本部機能と、デジタル化や自動化が進んだ生産・販売拠点とに分かれています。拠点の主な役割は本部から指示された通りの製造販売を行うこと、販売状況などを逐次中央に知らせるセンシングのみで、担う領域がくっきり区別されています。各拠点から吸い上げられた情報は本部に集約されてビッグデータとなり、マーケティング、イノベーションの源泉となります。このようなオムニ・チャネル化は、製造業だけではなく、あらゆる業界に拡がっています。

不動産の世界でも、建築物というリアルとともに注目されているのが、施設のデータを取り込んで通信や物流などニューインフラと結びつけるサイバー技術です。単に建物を安全に作るだけではなく、その後の運用を考えたデータ取得とデータ活用まで考えます。ユーザーのデータをうまく使えばアイドリングエコノミーやシェアリングエコノミーのような新たなマーケット誕生の可能性が高まります。

メディアの世界も同じです。受像器だけを端末としてマスに向けてコンテンツを編集・放映してきたテレビ局のようなリアル重視の企業と、デジタルデータをパーソナルに向けて配信するサービスを作り、編集にもデータデリバリーにも新しいテクノロジーを活用するサイバー重視の新興企業とで領域を大きく二分しています。

デジタル・ディスラプションの波

言い換えれば全産業がロボット工学やブロックチェーンを融合させた「第4次産業革命」の波にさらされているのです。デジタル・ディスラプション、つまりデジタルによる破壊と表現する人もいます。この波に乗ってさらなる進化を遂げて次世代につないでいくのか、波にのまれて衰退していくのかは、これからの判断と行動によります。

ここまで述べると「では通信やデジタルのテクノロジーをもっと進化させなければいけないのか」と考える人もいるかもしれません。確かに旧来のアナログなやり方では世界の変化のスピードについていけず、デジタルに慣れたユーザーのニーズに応えるのは難しいでしょう。

ただ、だからといってデジタル一辺倒の進化を目指すのは本末転倒だと考えます。なぜならどのサービスや製品も先には必ず「人」が存在し、その人々のニーズを正確にくみ取ることができるのも「人」しかいないと思うからです。

製造業、不動産、メディア、どの業界でも、AIだけできることに限りはあります。テクノロジーを駆使して利便にすることは可能ですが、何を利便化すれば喜ばれるのか、市場を広げられるのかを発想できるのは「人」です。これは建築業界にも当てはまります。

今月の建設市況と今後の見通し

「平成最後の」年始の建設市況は変わらず堅調

みなさま、年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。テレビをつけると「平成最後の」という枕詞が乱れ飛んでおり、さまざまな分野で“「平成最後の」○○”が繰り広げられていました。5月に新しい元号になり、その“「新元号初の」○○”が繰り広げられ、と連綿と続いていくのですが、時代の転換点を迎えることを否が応でも感じずにはいられない年末年始でした。

さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系は、山形鋼が上昇、鉄スクラップは下降、他は先月から横ばいですが、グラフには記載のないガス管、構造用管、大径角形鋼管が上昇しています。RC系は先月から変動なしです。

建築費指数は、鉄骨造オフィスは先月から変わらず、RC造オフィスは微増となっています。

資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)

建築費指数:2011年比 / それ以外:2011年4月比

推移傾向

現状維持

建築費指数 東京 事務所 S 建築

上昇

  • 山形鋼6×50ミリ 東京

現状維持

  • 異形棒鋼16ミリ 東京
  • 熱延鋼板1.6ミリ 東京
  • H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京

下降

  • 鉄スクラップ H2 東京

資材、建築費指数の推移(RC系)

建築費指数:2011年比 / 上記以外:2011年4月比

推移傾向

上昇

建築費指数 東京 事務所 RC 建築

現状維持

  • セメント バラ 東京
  • 人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
  • 普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
  • 生コンクリート 建築 180キロ強度 東京

この3ヵ月で工場では仙台、福岡、名古屋、新潟が上昇しており(東京に対する差が縮まっている)、一方、倉庫では広島、福岡、大阪が下降している(東京に対する差が広がっている)のが目に留まります。物流は、大きな動きはありません。

鉄骨造 工場の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京、札幌

鉄骨造 倉庫の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京、札幌

鉄骨造 物流の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京

日比生 慶

株式会社山下PMC
事業創造推進本部 第三部 特定プロジェクト部長
日比生 慶(ひびお・けい)

1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。

今月の建設市況と今後の見通し

建設市況に対する2025年大阪万博決定の影響はいかに

12月は師走という異名の通り、慌ただしく過ぎていますが、立ち止まってこの一年を振り返ってみますと、建設市況は緩やかに右肩上がりで上昇を続けています。
建設業界としては活況を呈していることを示していますが、その裏で人手不足・資機材不足が深刻化しており、工事費のみならず、工期にも大きな影響が出てきています。
工事現場にも働き方改革により週休二日が徐々に浸透し始めていますが、工期の増加、それに伴う工事費の増加も見込まれ、事業者にとっては工事を伴う事業の実施時期をいつにするのが良いか、判断が難しい状況です。
日本では来年から3年連続で世界的なスポーツイベント(ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック、ワールドマスターズゲームズ2021関西)が続き、さらに2025年には大阪で万博が開催されることも決定しました。これらのビッグイベントが建設市況に与える影響も大きいため、周辺の動きに注視していきたいと思います。

さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系は、鉄スクラップが大きく下げていますが、他は軒並み先月から横ばいです。RC系はセメントが上昇しています。

建築費指数は、鉄骨造オフィス、RC造オフィスともに先月に続き上昇しています。
なお、建築費指数は、先月までは2005年比でしたが、今月から2011年比となっています。

資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)

建築費指数:2011年比 / それ以外:2011年4月比

推移傾向

上昇

建築費指数 東京 事務所 S 建築

現状維持

  • 異形棒鋼16ミリ 東京
  • 山形鋼6×50ミリ 東京
  • 熱延鋼板1.6ミリ 東京
  • H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京

下降

  • 鉄スクラップ H2 東京

資材、建築費指数の推移(RC系)

建築費指数:2011年比 / 上記以外:2011年4月比

推移傾向

上昇

建築費指数 東京 事務所 RC 建築

上昇

  • セメント バラ 東京

現状維持

  • 人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
  • 普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
  • 生コンクリート 建築 180キロ強度 東京

次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。RC造の集合住宅、病院、学校をピックアップしました。この3ヵ月で多少の上下はありますが大きくは変わらず、東京が一番高く、低い(90以下)のは、名古屋、福岡、金沢、新潟、高松のままです。

RC造 集合住宅の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京

RC造 病院の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京

RC造 学校の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京

日比生 慶

株式会社山下PMC
事業管理運営本部 QCDS部 部長
日比生 慶(ひびお・けい)

1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。

日本の勤勉さ、丁寧さ、おもてなしの心

川原 改めて、杉田さんのお寿司を食べていると、日本の魅力を感じます。たとえば、勤勉さ、丁寧さ、おもてなしの心……これらを維持しながら、仕事に向き合う人、真の職人がいるから、日本の文化は進化していく。杉田さんのお店は、それらが相互に関わり合って、独特な世界を創っています。

杉田 寿司店を構成するのは、腕、素材、創意工夫のほかに、道具、空間、雰囲気です。その共鳴の中心にいるのが職人で、考え方や姿勢が反映されるといえます。

川原 まさに、バリューチェーンの最終地点ともいえます。

杉田 最近は外国のお客様も増え、なおさら再認識するのですが、寿司店には日本のよさが集約されています。漁師が釣ってきてくれた魂がこもった魚であり、最高の目ききや流通手法を経てきたものだから、命を宿した道具や器が必要なのです。その道具や器も、日本人の勤勉さ、丁寧さ、おもてなしの心、創意工夫から生まれています。

理想の寿司職人像を伝え続ける

川原 それらは有機的につながっていき、その結果、オリジナルになっているのですね。加えて、杉田さん独自の世界観を、従業員の皆さんは修業しながらも楽しんでいるように見える。
それはチームワークというよりは、サッカーのフォーメーションのようなものですね。そこにも経営者として学ぶべきところがあると感じます。

杉田 若い職人が私の店でひたむきに働いている姿を見た、ある著名な料理人から、感心して「いったいどうやったら若い人が付いてくるのか」と尋ねられました。私は「私の理想の寿司職人像をみんなに伝え続けること」と答えました。

川原 その理想とは店舗、サービス、味ということですか?

杉田 それだけではありません。来てくださったお客様に、お寿司を楽しんでいただくことのすべて。それは深く、多岐にわたります。
私自身が理想を高くもち、それを伝え続け、そして仕事を楽しむこと。さらに、これまで以上に輝いて、説得力をもたないと、人を育てることはできないと思います。

川原 技術だけを懸命に磨いても、そのほかのことがおろそかになってはいけない、ということですね。それは総合力が求められる今の時代にとても合致しています。

杉田 私自身、そういう職場で育てられたことも大きいです。今だから申し上げますが、18歳の私はクズ同然でした。独立してからもどん底を味わいました。しかし、修業時代に学んだこと、先輩やお客様など出会う人のそれぞれがもつ〝高い理想〞によって、自然と仕事に向き合う姿勢が正しくなったのだと思います。

クールジャパンの国づくりを!グローバル人財に必要な3つの基礎

少子高齢化時代の人財育成の鍵

仕事の守破離

川原 私は〝守破離〞という言葉を大切にしています。杉田さんのお寿司をいただきながら、いつもそれを感じる。この守破離は、私が生きている技術者の世界でも大切な思想です。これを暗黙知ではなく、有形伝承をしていかなければならないと思っています。杉田さんはレシピも惜しげもなく公開されますが、技の伝承についてはどのようにされるのですか?

杉田 技術というものは見よう見まねで習得するしかありません。寿司は、細かい作業の繰り返し。その蓄積があるからこそ、大きな目標や理想につながっていくのです。ただ、私が拘っているのは、若手に細かいことをきちんと理屈として考える習慣を付けさせることです。

川原 その結果、杉田さんと同じことができるようになるのですね。考え方や物の捉え方は、どのように伝えるのでしょうか?

杉田 「こうしなさい」と押し付けるのではなく、「なぜそれをやるか」と、考えさせ、理解させます。

川原秀仁

川原 まさに守破離です。〝守〞としては、伝統も含め、師匠に習い、同じことをやり続ける。その蓄積を繰り返すうちに、〝破〞としてのひらめきが生まれ、さらに独自のものを創る〝離〞を生み出す。そのサイクルを続けることが大切です。

杉田 〝離〞を得ても、根底に貫く基本を忘れてはいけません。

川原 10年以上通い続けて、初めて知ることばかり。杉田さんからは学ぶことだらけですね。

-10年以上の親交がある杉田さんから見た、川原について、お聞かせください。

杉田 経営者というものは誰に対しても公平に対応することが大切だと思います。川原さんの場合は、それに加えて、川原さんに対する態度が、誰も変わらないというのが特筆すべき部分だと思います。社会的立場の上下に限らず、川原さんに対し、友達のように接し、時にはネタにされてもいる。それでも満面の笑顔で受けている。社内外から愛されている経営者だと実感しています。

川原 そうですか? それでは、今度みんなを連れてこようかな。

杉田 ぜひ、お待ちしております。

杉田孝明氏

日本橋蛎殻町 すぎた
杉田 孝明(すぎた・たかあき)

1973年千葉県生まれ。中学時代に寿司職人を志し、高校卒業後、東京・日本橋蛎殻町の「都寿司」で12年間修業する。30歳のときに「日本橋橘町 都寿司」を開店。2015年に「日本橋蛎殻町 すぎた」をオープン。食べログの評価は常に最上位クラス。

川原秀仁

山下PMC 代表取締役社長
川原 秀仁(かわはら・ひでひと)

国内における建築・建設分野のプロジェクトマネジメント(PM)、コンストラクションマネジメント(CM)のトップランナーで、国内を代表するメガプロジェクトを多数手がける。PM/CMを普及させている草分け的存在。著書に『施設参謀』(ダイヤモンド社)がある。

予約が取れない超有名店として、国内外に知られる『日本橋蛎殻町 すぎた』。何度行っても新しい発見があるつまみやお寿司のほか、店主杉田孝明さんのホスピタリティ、お店の居心地のよさも多くの人々を魅了しています。今回は、杉田さんの仕事の哲学、修業時代のお話を、10年以上のファンだという川原がインタビューしました。

衝撃的に美味しいお寿司との出会い

川原 杉田さんにはいつか『unsungheroes』 (山下PMCの広報誌)に、ご登場いただきたいと、ずっと願っていました。

杉田 ありがとうございます。長いお付き合いをさせていただいていますね。

川原 私が初めて杉田さんのお寿司に出会ったのは2003年のこと。日本橋蛎殻町の人気店『都寿司』でした。その中で、修業中だが、格別に美味しいと感じるお寿司を握る方がいました。その後、店のお弟子さんが独立され新たに『日本橋橘町 都寿司』を開店させたと聞きつけ、2007年末に行くと、そのご主人が蛎殻町の『都寿司』で修業されていた杉田さんでした。運命的な再会でした。

杉田孝明氏

杉田 高校を卒業し〝寿司職人になろう〞と修業に入ったのが日本橋蛎殻町の『都寿司』でした。そこで出前から仕込みまで、あらゆる仕事を基礎から学び、30歳で独立しました。

川原 この時、以前いただいたものよりさらに進化した 〝衝撃的に美味しいお寿司〞に出会えたことは、私にとって幸運でした。今は修業を始めた地に移転され日本橋蛎殻町『すぎた』と改めています。今日は、お寿司というシンプルな料理で、なぜこれほど人を感動させられ、しかも進化し続けられるのか。仕事においてどのような信条やビジョンをお持ちなのか、じっくりとうかがわせてください。

杉田  最初の頃はランチで持っているようなお店でしたね。しかし、32、33歳の頃にお客様が少なく、店を維持することが大変になりました。しかし私にはお金がありませんでしたので、高価な魚を買うこともできませんし、名前で人を呼ぶこともできません。あるもののなかで勝負をしなくてはいけない。そこで創意工夫を続けていたら、ありがたいことに、世のなかに知られるようになりました。

日本橋蛎殻町 すぎた

寿司やつまみなど料理の秀逸さだけでなく、店全体のグルーヴ感、杉田さんの人柄、美しい所作、細やかな気配りなどで知られる。
東京都中央区日本橋蛎殻町1丁目33-6 ビューハイツ日本橋
☎03-3669-3855 ※完全予約制 月曜定休

ベーシックでシンプルな寿司をさらに美しく

川原 スタートが下町の寿司店であることは、多くのインタビューでもおっしゃっていました。その矜持をお聞かせください。

杉田 あえて挙げれば、みんなが楽しめる寿司、でしょうか。珍しいことをするのではなく、誰もが美味しいと思うものを、知恵と培ってきた経験で磨いてきました。

川原 でも杉田さんのお寿司は強烈な個性を放っていますよ。

杉田 ベーシックでシンプルな寿司を、さらに美味しく、味を広げようと考えているからでしょうか。これが私の信念であり、すべてです。

川原 その姿勢にブレがない。

杉田 根本にあるものは「この素材はもっと美味しくなるはずだ」という気持ちです。それを、ただ繰り返しているだけです。

川原 私は職人の技は時に芸術家を凌駕することさえあると思っています。それが、杉田さんが握る独自のアジやコハダにつながっていくのですね。

杉田 マグロや貝類は素材勝負ですが、光り物は、処理方法などに手をかければかけるほど、美味しくなります。だから、職人としての技を反映しやすいのです。

川原 技術の幅も広がると思います。でも、杉田さんは決して奇をてらわない。〝江戸前の寿司〞に軸足を置いて、ブレませんよね。

杉田 お客様に「同じ食材なのになぜ味が違うのだろう」と思っていただければありがたいです。

寿司職人ではなく総合司会者かもしれない

川原 確かに、毎回味わいが異なり、それはとても深淵です。ひとつのことを追求し続けるとそれがオリジナルになる。これはあらゆる仕事に共通していえることですね。それにプラスして、杉田さんは〝何か〞特別なものをもっている。これまで名店といわれる寿司店には、客が緊張してしまい、寛げないお店もありました。

杉田 何かあるとすれば、私は主演俳優ではなく、総合司会者という立ち位置で仕事をしていることかもしれません。寿司職人とは 〝ものづくり〞と〝サービス〞を一人で行う仕事だと思います。そのなかでは私はサービスの方が得意なのです。

川原 だからリラックスできる。

杉田 私は手先がとても不器用なのです。いまだにネクタイも一人では締められません。そのくらい何もできないから、修業時代からもどかしさを感じつつ、飽きずに続けられています。不器用だから、今日より明日の方がうまくなれると、ひたすら努力し続け、気が付けば二十数年が経っていました。

川原 杉田さんの所作は、洗練されており、無駄がなく美しい。そこには修練されたものを感じます。

杉田 動きについても、不器用なりに工夫し、少しずつよくしようと思うんです。私は要領が悪いので、人が確認しない部分も、確認しないと失敗します。だから、手間もかかってしまう。その確認の作業をスムーズに行えるよう、今も日々鍛錬を続けています。

杉田孝明氏

日本橋蛎殻町 すぎた
杉田 孝明(すぎた・たかあき)

1973年千葉県生まれ。中学時代に寿司職人を志し、高校卒業後、東京・日本橋蛎殻町の「都寿司」で12年間修業する。30歳のときに「日本橋橘町 都寿司」を開店。2015年に「日本橋蛎殻町 すぎた」をオープン。食べログの評価は常に最上位クラス。

川原秀仁

山下PMC 代表取締役社長
川原 秀仁(かわはら・ひでひと)

国内における建築・建設分野のプロジェクトマネジメント(PM)、コンストラクションマネジメント(CM)のトップランナーで、国内を代表するメガプロジェクトを多数手がける。PM/CMを普及させている草分け的存在。著書に『施設参謀』(ダイヤモンド社)がある。

今月の建設市況と今後の見通し

鉄骨造、RC造ともに建築費指数が上昇

大谷翔平選手、MLBア・リーグの新人王に選出されましたね! イチロー選手以来17年ぶりの快挙とのこと。素晴らしいですね。
サッカーはシーズンも大詰めで、J1は川崎フロンターレの二連覇、J2は松本山雅FCの優勝&J1昇格、J3はFC琉球の優勝&J2昇格、おめでとうございます!また、J1史上最もレベルの高い残留争いもどうなるか、気になります。さらに、鹿島アントラーズのACL初優勝、20冠達成という素晴らしいニュースもありました。

さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系は、H形鋼、山形鋼が上昇しています。建設市場全体としては、鉄骨工事のピークをこの秋から冬にかけて迎えることになりそうですが、さらなる上昇も予測されます。昨今話題になっているハイテンションボルト(高力ボルト)不足の深刻化も侮れません。RC系は先月から動きがありません。

建築費指数は、鉄骨造オフィス、RC造オフィスともに1ポイント程度上昇しています。ここのところ落ち着いた感がありましたので、最近の上昇幅としては大きなものになります。
内装工事のピークは来夏あたりに迎えることになるため、今後も一定期間、上昇基調で推移していくものと予測されます。

資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)

建築費指数:2005年比 / それ以外:2011年4月比

推移傾向

上昇

建築費指数 東京 事務所 S 建築

上昇

  • 山形鋼6×50ミリ 東京
  • H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京

現状維持

  • 異形棒鋼16ミリ 東京
  • 熱延鋼板1.6ミリ 東京
  • 鉄スクラップ H2 東京

資材、建築費指数の推移(RC系)

建築費指数:2005年比 / 上記以外:2011年4月比

推移傾向

上昇

建築費指数 東京 事務所 RC 建築

現状維持

  • セメント バラ 東京
  • 人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
  • 普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
  • 生コンクリート 建築 180キロ強度 東京

次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。今月は鉄骨造のオフィス、ホテル、店舗をピックアップしました。この3ヵ月でいずれの用途も東京に対して他の都市は横ばい、もしくは下降しており、地方都市の方が建築費の高騰感が軽減されているのがうかがえます。

鉄骨造 オフィスの建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京、札幌

鉄骨造 ホテルの建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京、札幌

鉄骨造 店舗の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京

日比生 慶

株式会社山下PMC
事業管理運営本部 QCDS部 部長
日比生 慶(ひびお・けい)

1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。

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人口減と社会システムの変革は不可避 – 首都圏を例にした健康長寿社会の未来像とは〈後編〉

誰もがピンピンコロリを実現できる社会が理想

そもそも、私たちはどんな社会を目指せばよいのでしょうか。高齢者の割合が増え、生産年齢人口が減るのは確実です。寿命が延び「働く」以外の活動が格段に増えるのも確実でしょう。その中で私が理想とするのは、いわゆる「ピンピンコロリ」を誰もが実現できる社会です。言い換えれば、誰もが亡くなる直前までは元気でいられ、自由に活動して充実した時間を過ごせる社会です。

施設活用というハード面では、償還時期を迎えた公共施設の見直しが必須です。人口増加を見越して地域内で点在していた施設は、このまま建て直しても維持管理に大きな負担がかかります。今後少ない人口で維持するためには機能も建物も集中させることが必要です。図書館やスポーツ施設、託児保育や介護施設など1施設1機能の考え方を改め、1カ所で複数の役割を果たせる施設に造り替えるべきです。新築以外にも、コンバージョンやアイドルエコノミーの導入も視野に入ります。

システム改善というソフト面では、今の医療介護制度に頼るほか新しい地域ネットワークとの連携が望まれます。日本の医療・介護は、再生医療や遺伝子治療などをはじめとする先端医療技術と施設が発展し、2000年から導入された介護保険制度のおかげで地域医療施設や介護施設、在宅介護のシステムも当たり前になりました。ただ、今後の高齢者増加を考えると、このままでは間違いなく機能がパンクするでしょう。これからは「これらの施設に入所しなくてもいい人たち」を増やす必要があります。

そこで求められるのが、多機能施設とそれを活用するための人財・運営システムです。地域内で健康増進やスポーツ振興、文化教育などのサービスを好きなときに気軽に受けられる環境を作り、元気な人たちで循環させられるようにするのです。私は、このシステムには「有料化」も組み込むべきだと考えます。無料ではなく、サービスを受ける人は一定の費用を支払ってもらう。ビジネスとして経済循環を構築するのが仕組みを長続きさせるポイントだからです。

先進国トップの高齢化社会、だからアウトバウンドできる

システムの「有料化」は、日本経済におけるシニア世代の資産を社会に循環させる施策としても有効です。仮に「国(政府)の金融資産の貸借対照表」を作ってみると、国の金融資産は約1800兆円あります。そのうち96%は国民の貯金で構成され、4%は円建ての形で海外にあります。この国民の貯金のうち80%は65歳以上が保有しているのが現状です。とはいっても、彼らの日常の収支は支給される年金額の範囲でしかなく、「節約、ときどき贅沢」というのが生活の基本スタイルです。

ないわけではないが、使う場面が限られている。それがシニア世代のお金の特徴です。それならば、彼らの「贅沢」の部分を地域システム内で上手に循環させれば、持続性を維持できるのではないでしょうか。若い世代だけに負担を強いる仕組みはもう無理です。資産を持っているシニア世代で新しい経済体系と活動場所を作らなければ、日本経済全体が倒れてしまいます。

もちろん、新システム実現のためには民間の工夫だけでなく、官の制度によるバックアップも必要です。今なら、国道16号沿線の人口集中地域がまさに新しい仕組みが求められるエリアであり、官民双方のリソース投入の意義があると考えます。

副都心を結節点として郊外へとつながる都市発展のモデルは、実は日本独特のものです。現在はベトナムやタイの都市に向けて「開発モデルパッケージ」として外販されています。少子高齢化社会に対する解決策もうまく構築できれば「社会システムパッケージ」として世界に示し、輸出が可能です。人口減という現象は、考え方次第では未来経済に活用できるのです。どんな方向へ舵を切るか、現在の私たちは答えを迫られています。

健康長寿社会の実現と少子高齢化対策

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人口減と社会システムの変革は不可避 – 首都圏を例にした健康長寿社会の未来像とは〈前編〉

1968年の「1億人」と2045年の「1億人」は違う

すでに「人生80年時代」という言葉を通り越し、「人生100年時代」が謳われ始めています。以前なら60代で職をリタイアした後の時間は余生と呼ばれ、「最低限の生活ができて無事に過ごせればそれでいい」と考えられていました。しかし私たち世代のリタイア後は30年、40年と続く長い時間です。余生どころか第二の人生といってもよいほどで、寿命までどう過ごすかは社会にとっても個人にとっても大きな課題です。

2045年頃には、日本の総人口は1億人まで減ると予測されています。日本の人口が初めて1億人に達したのは1968年頃でした。それに対して2045年の1億人は人口がどんどん減少した結果であり、1968年とは性質がまったく違います。たとえば1968年の人口に占める65歳以上の高齢者割合はたった7%でしたが2045年の予想は40%、日本全体の10人に4人はシニア世代です。残り6人の若い世代がそれらを支えていかなければいけないのです。

この少子高齢化は地方の問題として注目されていますが、首都圏も例外ではありません。東京は1964年のオリンピック開催を契機に人が集まり、「山手線圏内」という新しいブランド価値を生みました。そこから新宿、渋谷、池袋などの副都心が郊外との結節点となり、私鉄が延びて西東京・埼玉地域に住宅街ができ、各沿線の郊外だけで300万人近い人口を擁して今に至っています。しかし近年、団塊ジュニア世代が社会経済の担い手となってからこの流れに変化が出ています。

生まれてくる諸問題は変革のきっかけになる

1つは都心回帰の流れです。山手線圏内で形成された「山の手」の都市生活が品川や豊洲などの東京湾岸地域に広がり、いわゆる「海の手」を含んだ住宅圏になりつつあります。このエリアではIoTや自動化技術、水上インフラが発展して、今後も都市の利便性が担保されると考えられます。都心へのアクセスや居住地のブランド性を求める人は、多少生活費が上がってもこのエリアを選ぶでしょう。

もう1つは国道16号沿線への人口移動です。都心から約40kmの距離をぐるっと囲むこの地域は、横浜市、八王子市、川越市、春日部市、柏市、千葉市などを含みます。都心より家賃や物価が安く、団塊・団塊ジュニア・その子ども世代でともに一軒家に住まうことが可能なため、都内から転居する人や地方から親を呼び寄せて同居するケースが増えました。

その結果、山の手や海の手という都心在住者と、国道16号沿線の郊外在住者に人口が集中し、間の地域から人が減ってスポンジ化現象が起きつつあります。人口が減った地域では空き家問題が浮上し、また、人口が集中した都心と郊外では高齢者の割合が増えて大量の医療介護問題が発生するのは必至です。

この状況の中で、高度経済成長期と同じ方法のまま社会経済が立ち行くわけがありません。ニュースや雑誌でも将来の不安を煽る報道がたくさん出ています。ただし私はネガティブな意味でこの現象を捉えてはいません。なぜなら、これらの課題の見直しが「新しい社会システムを構築する好機」だと考えるからです。

郊外の中都市群は、圏央道やリニアモーターカーなど新しいインフラとのいわば結節点です。1960年代に新宿・渋谷・池袋が副都心という結節点となって郊外へ新しい暮らし方を広げたように、現在人口が集中する新結節点を生かせば今後の人口構成に見合った仕組みがうまく作れるのではないでしょうか。

そのために今考えるべき施策は、施設活用というハード面と、制度を含めたシステム改善というソフト面の2つです。これを両輪として中都市群の結節点にシステムを集中させれば、課題のいくつかは解消すると考えます。実際に働きかけている案件や施策も存在します。

大きな転換期を迎えようとしているホテルリノベーション業界。顧客層の明確化とオペレーションの効率化が鍵となる中、2018年にリノベーションを果たした「ホテルJALシティ那覇」「ロワジールホテル&スパタワー 那覇」の担当者に成功のストーリーをインタビューした記事です。以下のPDFよりお読みください。


「オーナーに徹底して寄り添うマネジメントで最短・最上のリノベーションを実現『ホテルJALシティ那覇』『ロワジールホテル&スパタワー 那覇』」(PDF / 1.5MB)

* 週刊ホテルレストラン別冊『決定版 必ず成功するホテルリノベーション PART11』(2018年9月14日発売号、p.134-141、オータパブリケイションズ)から転載しています。

今月の建設市況と今後の見通し

先月に引き続き、全体的に落ち着きつつも微増

この建設市況レポートを始めたのが昨年の10月でしたので、早いもので1年がたちました。最近はこの建設市況レポートをご覧になった方からお問い合わせをいただくこともあって、少しずつですがみなさまのお役に立てていることを実感する場面もあり、大変励みになっております。ありがとうございます。たびたびの原稿の入稿遅れで担当メンバーに迷惑をかけておりますが、今後もご愛顧いただけるよう継続してまいりたいと思います。

さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系は、鉄スクラップのみ下降、その他は先月から変わらずですが、グラフには載っていない高炉品、角管が上昇しています。RC系は人工軽量コンクリートのみ上昇、その他は先月から動きがありません。

建築費指数は、先月と同様に、鉄骨造オフィスは微増、RC造オフィスは変わらず。資材価格も建築費指数もおおむね落ち着いていますが、傾向としては増加側に振れています。下がる要素がないため、今後もこの傾向が続くものと思われます。

資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)

建築費指数:2005年比 / それ以外:2011年4月比

推移傾向

上昇

建築費指数 東京 事務所 S 建築

現状維持

  • 異形棒鋼16ミリ 東京
  • 山形鋼6×50ミリ 東京
  • 熱延鋼板1.6ミリ 東京
  • H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京

下降

  • 鉄スクラップ H2 東京

資材、建築費指数の推移(RC系)

建築費指数:2005年比 / 上記以外:2011年4月比

推移傾向

現状維持

建築費指数 東京 事務所 RC 建築

上昇

  • 人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京

現状維持

  • セメント バラ 東京
  • 普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
  • 生コンクリート 建築 180キロ強度 東京

次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。今月は鉄骨造の工場、倉庫、物流施設をピックアップしました。この3ヵ月でいずれの用途も東京に対して大阪の格差指数だけは上がっていますが、その他の都市の格差指数は下がっています。東京、大阪といった大都市と、その他地方都市の建築需要の差があらわれています。

鉄骨造 工場の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京、札幌

鉄骨造 倉庫の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京、札幌

鉄骨造 物流の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京

日比生 慶

株式会社山下PMC
事業管理運営本部 QCDS部 部長
日比生 慶(ひびお・けい)

1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。

事業戦略と施設戦略を、ハード&ソフトの両面からサポートし、健全な状態に導く「Facility Dr.」。施設建築のあらゆる悩みに向き合う山下PMCだからこそできる「施設のかかりつけ医」としての業務サービスを紹介します。


私たちがご相談にのります
Dr. 松浦
山下PMC 事業管理運営本部 本部長
松浦 裕
Dr. 進藤
山下PMC 事業管理運営本部 LCM部 部長
進藤 光信
Dr. 西村
山下PMC 事業管理運営本部LCM部 事業統括本部 事業統括・知財部 兼務 チーフプロジェクトマネジャー
西村 貴裕
Dr. 嘉門
山下PMC 事業管理運営本部LCM部 プロジェクトマネジャー
嘉門 隆史

施設建築の健全寿命を延ばすポイント

容体が悪化した施設&担当者が運び込まれた!Facility Dr. のところに担ぎ込まれた施設と施設担当者。
施設の健全寿命を延ばしたいという悩みは共通。

人は定期的に健康診断を受け、自分の健康状態を知り病気を未然に防ぎます。また、病気になったりケガをしたら、専門医の治療を受けます。

施設建築も人と同様ではないでしょうか?『施設建築の現状を正しく判断し、予見される事象(不具合や、ニーズに対するミスマッチなど)に対して計画的に投資計画を立案し、実行する』。そのためには、建築そのもののハード的側面だけでなく、運営・経営していくソフト面のケアも必要です。それなのに、総合的に「診察」できる「医者」がいないために、表面的な修繕や、無理な運営フローを採用し、収益バランスが悪くなったり、集客性や稼働率が低下したり、何より現場の担当者が疲弊するという弊害が起こっています。

ではなぜ、そのような弊害が起きてしまうのでしょうか?それは、施設運営(現場サイド)は近視眼的な部分最適解に目線が行きやすく、全体最適が求められる事業運営(経営サイド)との温度差があるからです。結果、施設建築の戦略的運営計画が立案・実行されていないケースが多くあります。

あなたの施設運営の問題をズバッと診断!

そこで、私たちは、施設運営の専門家として、「FacilityDr.」という活動を開始しました。施設建築に顕在化している課題のみならず、根底にある潜在的な課題をも見逃すことなく、真の課題設定から解決策を導き出します。それだけでなく、健康的で魅力的な「人の営みの『場』」としての施設建築を実現化するプロデュースまで行います。

1997年の創業以来、「施設参謀」として20年以上施設建築のハード・ソフト、そして運営面まで課題解決に導いてきた山下PMCならではの、FacilityDr.の活動に、どうぞご期待ください。

Dr. 嘉門施設の健康状態が悪化したところを場当たり的に修繕しているが、次から次へと不具合が発生。本当の原因を追求せず対処療法を繰り返すため、一向に全開に向かわない施設建築を、Facility Dr.が診断。根治療法により、健康的な施設に再生させます。
治療依存・薬漬け
Dr. 西村周辺に新しいビルが建ち、施設からどんどん人が離れていく。強い施設にしようと、闇雲に筋トレ的に改善を重ねることが本当の解決策でしょうか? Facility Dr.が基礎体力を測定し、それぞれに合った解決策をアドバイスします。
筋トレ依存症
Dr. 進藤「ランニングコストをもっと下げよう!」と言われ、さまざまな施策を行うも、行き過ぎた対応で施設運営の品質を犠牲にしては元も子もありません。Facility Dr.は、無駄をなくすことと、収入を上げる施策のバランスを見極めていきます。
ダイエット依存

Dr. 松浦Facility Dr. は、施設運営に関する、スペシャリストであり、ゼネラリストでもあります。施設が抱える問題を縦横無尽に洗い出し、真の課題設定から解決策を導き出すことで、施設運営を事業運営のプラットフォームに変革させます。Facility Dr. の3 本柱「BPM、DS、PM/CM」を駆使し、お客さまの悩みを解決していきます。

あなたの施設は健康ですか?ファシリティ・ドクターが診断します!

施設建築の健全寿命を延ばすための「正しい選択」ができているかどうかを問診票にしました。まずは、自身でチェックしてみて、これから健全化に向けて何ができるかを一緒に考えていきましょう。

事前問診票

  • 担当者が変わるとやり方も変わってしまう。担当者ごとに業務品質に差がある
  • 予算化した項目と同内容で工事発注したにもかかわらず、予算と実行金額が乖離してしまっている
  • 1年を通じて、業務負荷に波がある(いつも忙しい時期が決まっている)
  • 投資判断材料が不足していると感じることがある(判断不足により予算承認されなかった)
  • 5年前と同じやり方で、同じことをやっている(成長・改善が感じられない)
  • 必要な情報がどこにあるかすぐには分からないし、あったとしても探すのに時間を要する
  • やることを前提に投資要件をまとめ、なぜ必要なのかと省みることをあまりしない
  • 工事発注時の品質・コストコントロールに不安を感じている
  • 工事コストの妥当性を過去の実例などから判断する以外に術がない
  • 施工者やメーカーなどの提案通りに工事を実施している

原因は大きく3つ!- Before After

施設運営に関するスペシャリストのFacility Dr. が、スバリ施設建築の健康寿命を阻害する原因を突き止めます!

原因1 人・時間不足

Point!
業務プロセス改革の第一歩は業務の棚卸です。同時に「事業運営と施設運営をつなげる視点」と「ファイナンス視点」を全体横断的に取り入れていくことが重要です。

原因1 人・時間不足

「人財不足」や「働き方改革」といった言葉が、経営課題として取り上げられる今、対症療法的施策により、「社員の業務負荷」や「施設毎の投資戦略」のバランスが崩れているケースが多く見られます。Facility Dr. は、原因療法的アプローチにより、「業務品質向上」と「生産性向上」の両立を実現する業務プロセス改革を実践します。

原因2 情報不足

Point!
意思決定に必要な情報を「WHAT、WHY、WHO、WHERE、WHEN、HOW、そして”HOW MUCH”」の視点で可視化することで、「誰もが納得する」ものになります。

原因1 人・時間不足

分散した古い情報は使いものになりません。効率的な施設運営への近道は、常に最新の情報をタイムリーに得られる環境を整備することです。Facility Dr.が、施設戦略と事業戦略に必要な情報の価値化を実践します。

原因3 スキル不足

Point!
前例や社内のスキル・経験値のみに頼っていては、選択肢が狭まってしまい、社内での納得感も得られません。外部の専門家のスキルをうまく取り入れることで、全社的に横串をさした全体最適解が見つかるはずです。

原因1 人・時間不足

施設管理・運営は、「老朽化対策だけでよい」という時代は終わりました。施設は第5の経営資源とも言われ、事業運営と施設運営を一体的に進める必要があり、建築スキルはもちろんのこと、経営・財務的な視点も取り入れたスキルが求められます。だからこそ、限られた人員で専門外のスキルを学ぶには限界があります。FacilityDr.が幅広いスキルに基づき、全体最適を実現するための全社横断的なマネジメントを行います。

今月の建設市況と今後の見通し

鉄鋼系建設資材は鉄スクラップのみ上昇、RC系は生コンクリートのみ上昇、建築費指数の鉄骨造オフィスは微増、RC造オフィスは変わらず、と全体的に落ち着き傾向

台風21号や北海道胆振東部地震により多くの方々が被災されました。被災された皆さまと、そのご家族、関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。一刻も早い被災地の復旧・復興をお祈りいたします。

さて、今月の建設資材の動向ですが、鉄鋼系は、鉄スクラップのみ上昇、その他は先月から変わらず、RC系も生コンクリートのみ上昇、その他は先月から動きなく、引き続き一服感が漂います。

建築費指数は、鉄骨造オフィスは微増、RC造オフィスは変わらず。資材価格も建築費指数も落ち着いた傾向にあります。

資材、建築費指数の推移(鉄鋼系)

建築費指数:2005年比 / それ以外:2011年4月比

推移傾向

上昇

建築費指数 東京 事務所 S 建築

上昇

  • 鉄スクラップ H2 東京

現状維持

  • 異形棒鋼16ミリ 東京
  • 山形鋼6×50ミリ 東京
  • 熱延鋼板1.6ミリ 東京
  • H形鋼5.5×8×200×100ミリ 東京

資材、建築費指数の推移(RC系)

建築費指数:2005年比 / 上記以外:2011年4月比

推移傾向

現状維持

建築費指数 東京 事務所 RC 建築

上昇

  • 生コンクリート 建築 180キロ強度 東京

現状維持

  • セメント バラ 東京
  • 人工軽量コンクリート 180キロ強度 東京
  • 普通合板Ⅱ類 4ミリ 東京
  • PHCくい 300ミリ×8メートル 東京
  • コンクリートパイル 東京

次に、都市間における建築費の差を、東京を100とした都市間格差指数によりお示しします。今月はRC造の集合住宅、病院、学校をピックアップしました。いずれの用途もこの3ヵ月で東京に対して他都市の格差指数が下がっており、東京とそれ以外の都市との建築需要の差が広がっているのが見てとれます。

RC造 集合住宅の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京、札幌

RC造 病院の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京、札幌

RC造 学校の建築費都市間格差指数の推移

2015年比

指数比較(今月)

  • 金沢、新潟、高松 札幌、仙台、大阪、広島、名古屋、福岡 東京

日比生 慶

株式会社山下PMC
事業管理運営本部 QCDS部 部長
日比生 慶(ひびお・けい)

1972年生まれ。99年京都大学大学院工学研究科修了。山下設計で設計業務を経験し、2005年に山下PMC入社。オフィス、商業施設、文化施設、物流施設をはじめとする多様なプロジェクトについて、全体マネジメント業務から、調査、企画、発注支援、見積査定など、個別業務まで幅広く携わる。現在は事業管理運営本部QCDS部部長として、企画段階から現場まで幅広い業務を担当。主な実績にMOA美術館リニューアル、JR海浜幕張駅リニューアル、ランドポート厚木、ほか。一級建築士、CCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)、CFMJ(認定ファシリティマネジャー)。週末は体を動かす、子供と遊ぶのが至上の喜び。得意技は上段廻し蹴り。

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いち早くクライアントの収益が望めるよう慣習を打ち破る「建設バリューチェーン再構築」を〈後編〉

まず竣工図書にデータを集約させることを目指す

実建築物に即した情報が最終的に竣工図書類としてクライアントに渡ること自体は、非常に良いシステムだと思います。問題は、どんな状態で情報が渡ればベストなのか、それを構築するにはどんなプロセスが必要か、という2点です。

前者の答えは比較的シンプルです。今後施設でIoTやAIを活用したビジネスを展開したいなら、あらゆる情報のデータ化が求められます。クライアントの間でも複数施設を管理するために情報をデジタルデータに置き換える流れがすでに起こっています。竣工図書類も同じように、紙を中心とした構成からデジタル化へ移行すべきです。

データ化のメリットはいくつかあります。まず一元化しやすく情報の散逸がありません。紙ベースの情報はやり取りする間に紛失したり、確認したくても資料がなく現状から構成し直したり、デメリットが多く業界でも悩みの種です。データであれば必要なときに必要な人がすぐアクセスできるので、これらのコストが大幅に削減できるでしょう。

また、データ化すれば表現の選択肢が増えます。クライアント向けの情報を抽出して見やすく提示したり、設計担当者が必要なデータだけ並べて経過を確認したり、竣工後も同じデータを使って運用担当者が施設状況を把握できるようになります。建物について一度完全な竣工図書データが揃えられれば、過去の履歴確認だけでなく修繕や将来の運用にまでデータが活用できるのです。

第一歩として「データ化された完全な竣工図書類」を目指せば、応用はいくらでも利きます。しかし実現するまでには、建設業界にいる私たちが従来の方法を打破しなければいけないぶん少し時間がかかるかもしれません。紙ベースだった情報のデータ化を進めるほか、施工段階でも修正に合わせて図面と情報を連動させなければいけないからです。

今までなぜそれをしなかったかというと、やはり「面倒」だという気持ちが先に立っていたからではないでしょうか。これはシステム化すれば解決できると考えます。

すでに始まっているシステム化の試み

従来の図書類は、大きな情報の塊でありながら中身を確認できない、いわばOS型の情報でした。翻って私たちが目指しているのはアプリケーション型です。基本設計図書や設計説明書などは個別に管理でき、統合された情報はBIMのプラットフォームから確認できます。従来では1行ずつリストに収められていたような細かい数値情報もデータ化し、元台帳として誰もがアクセスできるようにします。クライアントも施工者も、欲しい情報があればデータから検索してすぐに得ることができます。

「面倒」ではなく「必要な作業」として建築プロジェクトに組み込むために、私たちは情報集約システムを構築し、運用を始めています。発注図書(設計者や施工者選定に必要な要件をまとめた書類)には、プロジェクトのあり方とやり方を明記。設計や工事監理、検査など、建設生産に必要な役務・行為をすべてプログラムに反映させ、実行に対するトレーサビリティを効果的に行う。このように履歴まで残す完全なデータを揃えて「究極の伝達図書体系」をつくり 、建設バリューチェーン再構築の基盤につなげることが目標です。

このシステムが業界の新しい慣習になればプロジェクトが同時並行で進められ、専門家を必要とする複雑な作業が省力化されます。また、事業と建物という少し遠く感じられていた存在が融合し、施設データを使った新しい発想のビジネスを展開させることもできるでしょう。この構想に賛同してくださる人々は各地に増え、セミナーや講演で解説すると毎回大きな反響をいただきます。今年はさらにマーケティングを行ってこのシステムを広げる元年にしたいと考えています。

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いち早くクライアントの収益が望めるよう慣習を打ち破る「建設バリューチェーン再構築」を〈前編〉

クライアントにとって「本当に良い施設」を目指すには

真に「クライアントにとって良い施設」とは何か。皆さんはどう考えるでしょうか。設計図面通りにきっちり建てられたもの、コストを削減してリーズナブルに建てられたもの、短工期で建てられたものなど、いろんな条件を思い浮かべるかもしれません。その中で私が出した答えは「竣工後すぐ思ったとおりに運用できる施設」です。

新しい施設を造るとき、その場所におけるクライアントの事業はストップします。もちろん竣工後はさまざまなビジネスを展開し、ストップしていた期間の損失をカバーできるだけの計画があるからこそ新施設の建設に踏み切っているのでしょう。しかし、せっかく竣工してクライアントに建物を引き渡しても、スムーズに運用フェーズに移行できず狙いどおりの成果が出せなければ、その建物は思うような収益を上げる存在にならず、日ごとに損失が増えるばかりです。

逆に事業を企画してから運用までの一連期間をなるべく短くできたらどうでしょうか。クライアントは新施設を活用してすぐに収益を生み出し、事業を止めていた間の損失をいち早く回収することができます。建物はただ箱ができあがっただけでは「完成」ではありません。クライアントのビジネスに役立って初めて「完成」といえます。建築関係者はそのポイントを必ず押さえなければいけません。

しかし日本の建設業界では、この企画から運用までのプロセスに非常に時間がかかってしまうケースが多く見受けられます。私は、そのつまずきは長らく建築生産技術者側の論理でつくってきた慣習によるものだと考えています。設計や工事の現場で発生した変更や工夫について事業や施設運用者に伝える情報のチェーンが、ほとんど構築されていないのです。

今の建築フローで実現できない大きな理由

現在、建築プロジェクトの最後にクライアントに納められる成果品は2つです。1つは実建築物、もう1つは竣工図書類(竣工履歴)です。この竣工図書類にまつわる慣習がクライアントのスムーズな施設運用スタートを妨げています。

最終的な竣工図書類がまとめられる前にも、プロジェクトではさまざまな書面が行き交います。企画図書から始まり、基本設計図書のあとは実施設計図書、契約図書などがあります。ほとんどが紙ベースで作成され、特に実施設計図や生産設計図は建築の専門家でもすぐには理解できないほど複雑です。かろうじてクライアントが全体像を想像する手助けになるのが、視覚的でわかりやすい設計説明書ですが、途中経過の図書であり、竣工時の最終状態とは一致しない場合がほとんどです。

竣工図書類は、竣工引渡書、竣工図、工事費内訳書、各種CADやBIM(Building Information Modeling)データなどで構成されます。最終引渡品だけあって請負契約上の履歴や資産としての履歴、運営としての履歴などすべてが網羅されていますが、アナログとデジタルの情報が混在してわかりにくく、項目ごとに整理されているわけでもありません。

クライアントがこれらを渡されても、専門用語と数値の羅列から実建築物の状態を読み取って施設運用に活用するのはとても無理でしょう。建設業界の慣習として膨大なデータが手元に届きますが、ほとんどが使えない状態で放置されているのです。したがって、クライアントは実際に行われた設計や工事に至る詳しいプロセスや変更を知る機会がほとんどありません。竣工後に運用フェーズに移行するにも実建築物を把握する時間がかかり、収益を生み出すまでにタイムラグが生まれてしまうのです。

クライアントの間でも「従来の方法では無駄が多い」という声は増えてきました。同時に建設業界でも「改善しなければ」という機運が高まり、実際にプログラムを組んで竣工図書類の問題を解決している企業もあります。

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